2017年3月9日(木) 快晴
       那珂湊 海水温  10.8度
  那珂湊港の潮汐 小潮 満潮  12:46  干潮  7:35
ノビタの釣り天国

       
2017年3月9日(木) 午前6時10分~午後13時05分 鹿島灘沖


     
   辛勝のヤリイカ6ハイ


                                  
           ヤリイカ6ハイ
3月ヤリイカ登場

食味ではイカの王様、プレジデントと呼ばれるヤリイカ戦に臨んだ。
高貴な魚なので、昔は庶民は口にすることができなかったイカだ。
現代でもこのイカを食した人は稀かもしらん。
たとえ首相や大統領でも滅多に口にすることはできまい(エヘン)。
なんせ魚屋でも店頭に並んで居ないんだから。
さらにそれに拍車をかけるように、ここ数年ヤリイカは常磐沖から姿を消し伝説の魚になってしまった。
オレがヤリイカを常磐沖で釣ったのは、あの震災の前の一度だけ。
あれがはじめで最後、今にして思えば夢のような話し。
ところが。

                                            
     大サバ5匹
「昔の名前で出ています」と最近、ヤリイカ40~60センチ級が鹿島灘沖に出没したらしい。
ー待ち遠しかった!
もう居ても立ってもいられなかった。
あの味をもう一度と、食べたい一心だった。
そして、寒風なにするものぞと出撃したけど。

結果は、辛勝の6杯。
悪戦し苦闘し、また悪戦し苦闘し。
目標の20杯には届かず。
まさに、刀折れ矢尽き、満身創痍の戦いになってしまった。

その夕、風呂上り。
島崎藤村の『酔歌』の一節を思いながら俺は独り酒を飲んだ。
「甲斐なきことをなげくより
   来たりて美(うま)き 酒に泣け
 光もあらぬ春の日の
 独りさみしきものぐるひ
悲しき味の世の知恵に」

今日釣ってきたトレトレのイカの刺身をつまみに、美き酒を飲む。
ーああ、極楽極楽。
そして、テレビを見ながら眠ってしまった。

さて。
「敗戦の将、兵を語る」戦いの顛末を語ろう。
                                                 
午前5時42分
戦場は鹿島灘
前日。
ヤリイカ釣りを船長に予約すると。
船長が竿は1メートル50センチほどの短い方が良いと言う。
2メートル40センチの長い竿しかないと応えると、それでも良いと言う。
ーどっちなんだい?
翌日、釣りに行ってはじめて短い竿が良いわけが分かったヨ。

午前5時10分。
釣船者6人を乗せた船は、まだ暁闇の湾内を滑るように出て行く。
それぞれ左舷に3人、右舷に3人に分かれた。
イカ釣りには理想的な人数だ。

    
さて戦闘開始だ(午前6時10分)
全長10メートルの仕掛けは、隣りの人と絡みやすい、
乗船者は少ないほど良いに決まっている。
俺は左舷中央で釣ることにした。

風もなく海はベタ凪。
ホッカイロを体に貼っているせいか、寒くもなかった。
空も海も夜の闇から脱皮しつつあった。
水平線上は血の色に染まっていたが、やがて紅色からオレンジ、青とグラデーションに変化し、水平線上に横たわる帯状の雲は黒かったが、空は青々と広がっていく。
口笛を吹きながら散歩したくなるような快晴である。

悪戦苦闘
航程1時間、鹿島灘沖にトウチャコ。
午前6時10分、戦闘開始。
全長2メートル40センチ、錘負荷50号~100号の竿に120号の錘をぶら下げた。
てこの原理で、長い物の先に重い荷重をぶら下げたら、腕にかかる負担が倍になる。
船長が昨日、このことを言ったのだ。
でもない袖は振れない。
長い竿で、我慢して戦うしかない。
ところが。
10分ほど竿をシャクルと腕がしびれてギブアップ。
その度に竿をロッドキーパーに置いて休む。
ミヨシで釣っている人の竿は船長の言う1メートル50センチの短竿で、彼は休まずシャクリ続け開始から20分ほど経過したところで1パイ釣り上げた。
結局、彼は俺より多く釣った。
                                            
40センチオーバーの大サバ
伏兵との戦い
午前7時10分。
シャクッていた竿が、いきなり海面に張り倒された。
もっとも来てほしくない伏兵が、とうとう現れたのだ。
牡丹に唐獅子、竹に虎、イカにサバはつきもの、あきらめるしかない。
サバは暴走する。
その力に負けると、隣りの釣り士の仕掛けに絡む。

電動リールのパワーを全開にしても追撃の手はゆるまない。
竿の先は、大きくバウンドし竿を持つ手に限界を感じ。
その度に、電動リールの回転がジジッと停止する。
なんとか船上に引き上げたのは40センチオーバーのサバ。
ナント、その下にもう1匹ついていた、ナントナントその下にさらにもう1匹。
ートリプルだ!
全長10メートルの8本針仕掛けが、ゴチャゴチャにならないよう汗を頭上に拡散しながらサバと格闘する。
このサバの取り込みに、10分以上もロスしてしまった。

       
40センチオーバーのヤリイカ
はじめの1匹
午前7時半。
海底からグイグイと道糸が引っ張られた。
竿先を少し持ち上げてみる。
微かに反応があったような、なかったような・・・。
なんとも歯がゆい。
船長が操舵室から顔をだし、イカのアタリかと叫んでいる。
「わからない」
と応えた。

そのアタリ、高橋真梨子の歌のようだった、
「歯がゆいのよ その唇
 キスする場所 間違えてる」
なんとも歯がゆい。
                                             
釣り士がこぼれそうな船が
もしイカなら貴重な1匹と、電動リールの巻き上げレバーをスローにして引き上げた。
サバが浮遊する海中を、ゆっくり獲物を引き上げるのは、地雷を踏むような危険行為だ。
ー高速で巻き上げたい。
しかし。
高速で巻き上げると、柔らかいイカの肉から針が外れる。
ハラハラドキドキの水深80メートル、サスペンス劇場の山場だった。
リールの回転速度を毎分10回から15回に速め。
無事、船上に引き上げたのは、待望の40センチオーバーのヤリイカだった。ーホッ。

      
午前11時 新たな戦場へ
戦場を変更
この時、オレは。
戦いはこれからだと勇躍したのだが。
1時間、2時間、3時間・・・。
待てど暮らせど、あとが続かない。
童謡の、
「ある日 せっせと野良かせぎ
そこへ兎が とんで出て
ころり転げた 木のねっこ」
百姓は、兎が転んだのは偶然ではなく必然と思い込み、ひたすら兎が木のねっこで転ぶのを待つのだが。
なんかイカを待つ俺と重なるよ。
疲れて竿を置きぼんやり海を見ていると、
船の横腹をちゃぽんちゃぽんとたたく波の音が子守歌のように聞こえ、眠りに誘われうつらうつら。

                                              
イカ船団発見
午前11時。
船長に、ヤリイカ軍発見の報が飛び込んだようだ。
急遽、船のエンジンを全開にし波しぶきを上げて南下、30分ほど疾走したか。
前方に、点々と船団の黒い影が見えてきた。
船団に加わると。
船長の合図で、一斉に仕掛けを海に投入した。
この時、俺はまだヤリイカを1ハイしか釣っていなかった。

目を血ばらせ、口から犬のように舌をだし、海に飛び込んでイカを手づかみする勢いで仕掛けを落とし、竿をシャクったヨ。
なんとか午後12時までに2ハイ追釣し、さらにロスタイムに3ハイ追釣したところで、今日の戦いは終わった。

終了
午後1時10分、沖上がり。
那珂湊港に帰港したのは、午後2時半だった。
今日は日立港の方からも遊漁船が来ていたが、まだ帰ろうとしていなかった。
かなり苦戦したのかも?

本日釣果
ヤリイカ    40センチ前後  6ハイ
サバ      40センチ前後  5匹


The END