ノビタの釣り天国
 
2019年12月25日(水) 午前6時10分~午後12時10分
  那珂湊沖でタコ釣り



        今年最後の釣り


                真ダコ1ハイ















今年最後の釣り
時の流れは急流だ。
アッと言う間に1年が過ぎ去り、もう年の瀬。
インディ・ジョーンズの「最後の聖戦」ではないが、今年最後の釣りに臨んだ。
狙いは那珂湊沖のGT(ジャイアント・タコ)。
終わり良ければ全て良し。
ー今日こそ。
と、闘志で全身火だるまになっていた。
・・・なのに。
結果は、今年の釣りを象徴するような結果で終わった。
1時間、2時間、3時間・・・5時間。
その時を待った。
まるで『クリアスマス・イヴ』の歌である。
ーきっと君は来ない
 ひとりきりのクリスマス・イヴ
 Silrent night,Holy night
ヒュルリ ヒュルリララと風が啼いている。
ー俺は此処に何をしに来たのだ。
と、いつものことながら木枯らしが胸中を吹いていた。


                                  
海は少しうねっていた
潮が流れない
昇仙丸に乗った。
同船同夢の釣戦者はおれも含め16人。
午前5時50分出航。
那珂湊沖航程15分。

釣りを開始したのは、午前6時10分。
まだ日が昇っていない。
黎明の大海原。
海はコールタールを流したような真っ黒。
波長の長いうねりがあったが、気にするほどではない。
弱いが冷たい北西の風が吹いていた。
俺は右舷側に陣取り、餌木で臨む。
錘は80号をぶら下げた。
道糸はGTに備えPE8号を100メートル巻いていた。
水深30メートル、潮の流れが緩く仕掛けが流れない。

  
永遠にアタリが遠のく
はじめの1匹
釣りを開始してから30分。
海底をトントン叩いていた仕掛けが、いきなり重くなった。
持ち上げたが持ち上がらない。

頭上にピカッと1000ワットの電球が灯った。
ーこれはタコ入道だ!
道糸の弛みを取り、大きく息を吸い込み竿を掴んで思っきり仰け反った。
ーグワーッ
と海底から重い物体が持ち上がった。
この瞬間がタコ釣りの醍醐味だ。
ベートーヴェン交響曲第9番 第4楽章 『歓喜の歌』が空高く鳴り響く。
頭上から汗を散布しながら、ひたすらリールを巻く。
船長が隣りでギャフを持ち待ち構えた。
まだ薄い闇が這う海面にタコが浮上した。
船長がタコを海面から船上に引き上げた。
「良い形だよ」
と言い操舵室からカメラを持ってきた。
これが船中初めの1匹だったようだ。

これが初めで最後だなんて、誰が思うだろう。
この後、永遠にあとがなかった。
午後12時10分、沖上がり


本日釣果
真ダコ 2キロ1匹

The END