ノビタの釣り天国
 
2021年9月15日(水) 午前4時50分~午前11時半
  那珂湊沖でタコ釣り



       マケドニアのタコ釣り


                    
たこ2匹

















年老いた釣り師

昔々あるところに。
「若き日 早や夢と過ぎ
我が友 みな世を去りて・・・」(オールド・ブラクジョー)
とつぶやいている老いた釣り師がいました。
そして。
ジジイは劣化著しい脳細胞を最大限活性化して、那珂湊沖にタコを釣りに行きました。
今日の夢はタコを15匹釣ることです。
                       
タコ釣り仕掛けです
午前4時40分、船は那珂湊の漁港を出航しました。
海は平らで波がありません。
雲多き空でした。
港を出てから10分。
釣りを開始したのは、午前4時50分。

初めの1匹
タコ釣り用の餌木を付けた錘(80号)を海底に落とし、水深25メートルの海底を。
北島三郎の『与作』を唄いながらトントン小突きます。
「ジジイは底を突く
 トントントン トントントン
 タコよ来い
 トントントン トントントン
釣り開始から3時間経過した午前8時。
とうとう曇華一現(どんげいちげん)のタコを釣り上げました。
はじめの一匹は650グラムでした。

   
海は荒れ始めました
運命!
ー求めよさらば与えられん。
また海底を小突きます。
ートントントン トントントン。
10分、20分、30分・・・1時間。
雲が消えて空は青々と広がります。
だんだん東よりの風が強くなり波がチャポンチャポン騒ぎ初めました。
その時。
タコが海底で反応しました。
仕掛けが海底に張り付いたのです。

ガーンと竿を振り上げ、一気にリールを巻き上げます。
その重量感は2キロオーバーか!?。
頭から汗を散布しながらリールを巻き続けました。
ジジィの隣りで船長がタモを持って、今か今かと海面を睨んでいます。
ところが海面まであと10メートルのところで、カクッと竿を持つ手にショックが。
ベートーベンの運命が流れました。
ーダダダーン!
竿から重量感が消えたのです。
タコは逃げたのです。
ー我が不幸ここに極まりき。アァ

ジジィは海に向かって叫びました。
「Lover come back to me(ラバーカムバックトーミー)」
あたりまえですが、海は沈黙したままです。
                                 
すべてタコ釣り船
なんとか2匹目
午前9時半。
たるんで伸びきっていた神経が再び引き締まりました。
また仕掛けが海底に張り付いたのです。
さっき逃がしたタコではありません。
引き上げる重量がカルカッタのです。
2匹目のタコは400グラムでした。

そのあとまったくタコの気配が海底から消えてしまいました。
魚入れの樽に入っているタコを眺めながら。
ジジィは無念そうに、山口百恵の『横須賀ストーリー』を唄っていました。
「これっきり これっきり
 もう これっきりですか
 これっきり これっきり
 もう これっきりですか
 私は いつも 置いてきぼり

知足者常富
午前11時半。
沖上がり。
この日の船中トップは23匹でした。
我、今日もマケドニア。
そして。
今日も夢から覚めて船を下りました。
ジジィは、「知足者常富」
ー足るを知る者は常に富む。
と負け惜しみを言いながらロシナッテに跨りました。

本日釣果
タコ    400~650グラム 2匹

The END