ノビタの釣り天国
 
2021年11月30日(火) 午前5時半~午前11時15分
  那珂湊沖でタコ釣り



    那珂湊沖のタコ釣り夢は大きかった


                    
たこ10匹























NHKBSプレミアム

先日、NHKのBSプレミアム『釣り人万歳』のスタッフからメールが届いた。
ーなんだろう?
内容は2017年12月26日の「ノビタの釣り天国」に掲載した5.3キロの真ダコを手にぶら下げたノビタの写真を貸してもらいたい、連絡だった。
今年12月26日に放映する「釣り人万歳」に常磐沖のタコの巨大さを視聴者に見せたいようだ。
ー了解した。
このあと「渡りタコの釣り方についてレクチャーして欲しい」と同じスタッフから電話があった。
これには一瞬、とまどったヨ。
船タコ釣り歴20数年だけど、いまだ初心者の域を脱していない俺にその資格があるのだろうか?と。
今でもノビタは、その極意を求めて砂漠で水を求める羊のようにタコ釣りの世界を彷徨っているのだ。
結局おれの失敗談を話して終わったような。

いつか竿頭に
さてこれからが本日の釣行記となる。
結論から先に言うと、本日のトップ(竿頭)は真ダコ23杯。
そして俺は10杯。
登れない木は仰ぎ見るな、と言うけど俺はまだあきらめない。
トップの半分も釣れなかったけど、決して登れない木ではない。
ボクシング重量無制限クラスのチャンピオン、モハメド・アリの言葉を励みにして頑張る。
「NOTHING IS IMPOSSIBLE(不可能なことは何もない)」
いつか竿頭になってやる。
                                   
絶好の釣り日和
となりのご婦人と競う
11月30日。
午前5時15分、那珂湊港出航。
まだ海はどす黒い闇の底だ。
空に細い三日月が輝いていた、まるで勝利の女神が微笑んでいるようだ。
(玉砕した時は、悪魔の笑いとなる)
弱い北よりの風が吹いていて、海面は無数の小波で覆われていた。
それでも海は穏やかな凪だった。
本日のタコ釣戦者は、婦人一人を含む20人。
寒い朝だが船中やる気がむんむんしていた。

      
やる気むんむん
航走、15分。
午前5時半、釣り開始。
水深27メートル。
錘は100号を使用した。
10分、20分。30分、海底からの応答がない。
午前6時過ぎ、隣りの婦人が600グラムほどのタコを釣り上げた。
それを横目で見つつ、
ー焦るな、焦るなと声を出さずにつぶやきながら。
海底を小突くこと20分。
やっと俺にも500グラムほどのタコが釣れた。
この後が続かない。
隣りのご婦人は、ポツポツ釣っている。
午前7時半、俺は1ハイ、隣りのご婦人は4ハイのタコを釣り上げていた。
ー今に見て色いろボクだって。
と老体にムチ打ち粉骨砕身、海底を小突き続ける。

巨大な喪失感
そして。
午前8時半、とうとう俺も婦人と同じ4ハイになる。
ーその時。
仕掛けが海底で動かなくなった。
いくら引っ張ってもピクリともしない。
糸を弛ませしばらくそのままにしていた。
海底でタコが油断したころを見測って、竿先を海面まで倒し道糸にテンションをかけながら。
一気に竿を持ち上げた。

海底の未確認物体がグワーっと持ち上がった。
海底から1メートルも持ち上がったろうか。
その時、いきなり地雷を踏んだような衝撃が走った。
「ガタッ!」と轟音を上げてリールが竿から外れ、操作がスピンアウトした。
ーしまった!
熱湯をいきなり頭からかぶせられたカエルのように驚き。
必死になってリールを竿に取り付けようとしたが、竿が震えて取り付けられない。
道糸は弛みぱなし。
船長が飛んできて、リールを竿に付けてくれたけど、竿にあった重量感は消えていた。
もしこの時、動かざること山の如し、慌てず電動リールのスイッチをオンにし、リールが外れてもそのまま竿を持っていたら大タコが海面に浮上したのではなかろうか?
ーあとのまつりだ。

このあと気をとりなおしてタコ釣りを再開。
午前9時半までに6ハイを釣り上げ、この時点で隣りの婦人と釣果は並んだ。
どんぐりの背比べのような、競争は続いた。
午前11時10分に10ハイ。
隣りの婦人は8ハイ。
なんとか隣りの婦人を抜いた。
午前11時15分、根掛かりし仕掛けをロスした所で納竿。
頂上を極めるのはまだまだ遠い。

本日釣果
タコ    400~1200グラム 10匹

The END