1997年  小笠原釣り紀行(前編)        
1、イントロ

1997年の10月、念願の小笠原に釣行した。
最近のニュースで、父島に空港が建設されることを知る。
空港が建設される前に行ってきて本当に良かった。
それにしても、こんなに早く空港が建設されるとは.....。

船で25時間30分の航程が、飛行機で1時間30分だ。
島の人々の悲願がやっと成就する。
1週間前の新聞しか見れなかったのが毎日見られ、新鮮な野菜、果物が毎日食べられる。

<ノビタのぼやき>

全国の書店に
”1時間30分で行ける南海の楽園、小笠原”のキャチフレーズでガイドブックが並び、大勢の人がどっと押しよせる。

島は東京の銀座や、新宿、渋谷のごとき混雑となり、今まで縁のなかった交通事故や犯罪が多発。
広い洋上は、房総沖や、三浦半島沖のように船団がひしめきあう。
餌に隠された針に、敏感に反応する賢い魚だけが生きのびる。
残念ながら小笠原の殆どの魚チャン達は、餌の中に針が隠されているなど疑わない。

人間の侵食は留まらない、瞬時に貴重な自然、豊穣な海が消滅する。
それでも世の中は便利さを優先し、流れて行くんだな〜。
イントロ長くなりごめんなさい。

2、出港

東京の竹芝桟橋より南に1000キロメートル、絶海の孤島小笠原。
気軽に「今度の休みは小笠原に行って来ま〜す」と言えない所。
小笠原に行こうとフッと思ったのが行く2週間前。
前後の脈略もなく、あこがれに近い思いが、脳のなかで突然スパークし、行動に出た。

10月26日カミさんに車で送られ、東海駅朝7時27分発、”スーパー日立”に乗った。
竹芝桟橋の東海汽船待合室に着いたのは、9時30分。
行く人、送る人の400〜500人で混雑していた。
入船手続きを済ませ小笠原丸に乗船。
3月1日に新造したという総トン数6、679トン、全長131m、旅客定員1、031人の船内は、ホテルのロビーに入ったように豪華だ。
船は定刻10時に出港。
東京湾内は静かに進んだが、千葉の房総半島を後ろに見るころ、船は揺れ始めた。
出港から4時間経過、揺れが大きくなり、立って歩くには手摺がなくては歩けない。
強烈な船酔いに見回れ、がまん出来ずに女子トイレに飛び込んだ。
夜の7時半頃には、船の揺れも緩やかになり、船酔いもおさまる。
3、出会い

翌日の午後12時半、予定より1時間遅れて二見港に着いた。
小笠原の空は青く澄み、我々を歓迎してくれた。
下船用の出口はまだ開放されない、混雑するデッキにぼんやり立っていると、37〜8才のおっさんが、袋に入れた竿を片手に近ずいて来た。
これが小笠原で釣りを楽しんだ、トキ氏との出会いだ。
トキ氏の話しでは、1人で船をチャーターすると15、000円、2人以上だと1人10、000円ですむので、一緒に船に乗らないかの相談。
了解したが、自分は陸からのルアー釣りもしたいしで、何となくあいまいな約束をして別れた。
互いに名前もつげず雑踏のなかで、いつの間にか見失ってしまった。
4、釣浜でルアー釣り

船を降り、宿となる”パパヤ”に手荷物をおろした後、シーバスロッドをかかへ、ルンルン気分でレンタルバイクに乗り、島を一周に出かけた。
約2時間の島巡りの最後、ガイドブックで知った”釣浜”に着いた。
若い人が一人でルアーをやっている。
「どうですか」と聞くと、「入れ食いですよ」と言って、波打ち際から離れた所にあるビニール袋の中を見せてくれた。
中にはアイナメに似た26〜28cm程の魚が6匹入っていた。
ビニール袋を波打ち際に置いて3匹逃がしたこと、先程着いた小笠原丸で来たことなどを話してくれた。
自分も始めたが、水深わずか30〜40cmしかないゴロタ石の遠浅の海で、シーバスロッドの3.6メートルは扱いにくい、それにメタルジグでは直ぐ根掛かりし、釣りにならない。

東京から来たという若者は、2メートル程のロッドに、小指程のワームと重り1.5号程を針のチモトにつけ、マジシャンの如く器用に竿を操り、「魚が全くスレていませんね」と、”アイナメもどき”をかけている。
自分はただ見る人で終わってしまった。

夕方、宿に戻り、隣りの釣り具屋に行くと、20才位のきれいな娘さんが店の番をしていた。
若者が使用していたソフトルアーを探したが、品数が少なくあまり良いものはない、数種類を選びレジに持って行き、何気なくレジの後ろを見ると、黒いマジックで「釣り船 ”かっぽれ丸”への申し込みは下記へ.....」の貼り紙が目についた。

ガーン!思い出した。
トキ氏にここで会い「かっぽれ丸」の予約をする予定だったはず。
娘さんにトキ氏の背格好を説明し、来なかったか聞くと1時間前に来たと言う。
「かっぽれ丸」に一人で予約したとのこと。
あの時あいまいな約束をした自分が悔やまれる。
娘さんに頼み、電話で「かっぽれ丸」の予約をしてもらった。
 
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