2000年 4月15日(土)阿字ケ浦方面                 

 
         
風と雨降る海で....

                                              散りゆく桜
バイク哀歌
午前6時半。
天気予報では既に雨が降る時刻。
空は雲に覆われていたが、雨はまだ降っていない。

走行距離28,302Km、人間の年で言ったらもう90才に相当するのだろうか?
我が侭なな主人に逆らうことなく、もう5年。
老体に鞭打ち、文句も言わずに走り続けるホンダのリード50CC、名無しのごん平。

今朝もノビタの無謀な要求に応え、ドドドッードドー、ビリビリ、バリバリと崩壊寸前のうなり声を上げ、お尻から火を吹きながら疾走して行く。
代償無き奉仕、迷い無き労働、命つきるまでの貢献。
物言わず逆らわない、故障を起こさない限り献身的従順。
ドンキホーテの愛馬、ロシナンテも実は機械だったのでは?
この頃、寄る年波には勝てなく、体の節々の油が涸れてきたせいか、バイクを引いて歩くと、泣き声をキー、キーと上げるようになった。
そんな体のお前だが、俺はお前の力を信じたい、後5年は現役で頑張ってくれ。

暗くどんよりとした空の下を走っていると、行く手が急にパッと明るくなった。
桜だ!。
満開の時期を過ぎ、すでに3割りくらいは花吹雪となって散っている。
周囲を圧倒する豪華絢爛さ、一瞬のうちに消えていく儚さ、ビューティフル!。
バイクを止め、散りゆく桜の最後をカメラに納めた。

      
寒々とした先端
ブルーな気持ち
駐車場に午前6時40分、人間不在の車がひっそりと4台。寒々とした港、冬を思わせる風景だ。
風を正面に受けながら、一歩一歩前進して行く。
寒空に杭の様に立っていた先客2名、何を狙っていたのか、釣れていたのか。

先端に着いたのは午前7時を廻っていた。
誰もいない先端、白い灯台の存在が頼もしく感じる。
竿を出し、冷たい東風に耐えながら、海からの反応を待った。
うねりはないが、風に起こされた小波が騒がしく海一面に広がっている。

10分、20分、30分経過、海から何の反応もない。
胸の中は期待に満ちた明るいスカイブルーから、暗く重いグレーに変化していく。
遠くに見える杭となった2人、彼等の胸の内はどうなんだろう。
ノビタと同じ色に染まっているのか?。

                                          
海面の下は稚鮎の絨毯
幾千幾万の稚鮎
午前7時半、獲物を追う猟犬のように執拗に、獲物を天空から狙う鷹のように鋭い目で海を見ていた。
海中からキラリと閃光が走る。

堤防から5〜6メートル、モスグリーンの海に小波の影になりながらキラキラと光る小魚の群れ。
よく見ると、群れは絨毯を敷いたように沖に続く、その数は幾千、幾万の大群。
気持ちはパッと桜の満開色に変った。

置き竿にしていた5.3メートル磯竿1号の先端が細かく震え、ゆっくりとお辞儀を始める。
「キタ、キタ、キタ〜♪」
竿を握る、伝わってくる魚の鼓動、風でわかりずらいが間違いなく小魚が掛かっている。
竿を持ち上げる。
仕掛けが水面を切ると、銀色に輝く稚鮎が10匹、列をなして上がってきた。
型は先週、常盤の海で釣ったサイズの2倍ほどもある。
風に難儀しながら稚鮎を針からはずし、すぐ仕掛けを海に戻す。

仕掛けを海に降ろすと、すぐに竿先が震え出す、クックックックー、クックックックーと竿を持つ手に海中からの信号が伝わってくる。

     
北東の風が邪魔をする
「来い、来い、カモンベービィー♪」
稚鮎が宙を舞う。
型が良いので引きはあるが、一度に上がるのは3〜4匹と少ない。
海面をよく見ると、稚鮎の群れは竿先から1〜2メートル沖に移動した。
どうやら釣れるのは、群れからはぐれた稚鮎のようだ。
そのうち稚鮎は消え、いつの間にか廃虚の海に戻る。

10分くらいすると、また竿先が震え出す。
稚鮎の群れは、堤防から10メートルほどと、遠くなっていた。
一度に釣れる数も、2〜3匹と先より少ない。

                                            
      醜怪なE.T
突然、釣れた稚鮎を餌にソイを狙っていた竿が、
「リリリッ、リリリッ、リリリッ」
と鈴を鳴らした。
リールを巻く、重さはさほど感じない。
堤防に持ち上がったのは、醜怪なギンポだ。
大きさ20センチほど、気持ち悪いので、すぐリリース。

午前10時、風は北東に変り強さを増す、空からポツポツと白い糸をひきながら冷たい滴が落ちてきた。
稚鮎はますます釣れる間が遠くなり、釣れる数も1〜2匹と少なくなってきた。
午前11時、事体に好転の兆しが見えず、寒さが身にしみてきたので撤退。

   
本日釣果稚鮎62匹
本日の釣果は稚鮎62匹、惨勝である。
家に帰り早速これをつまみに缶ビールを、とカミさんに頼んだら、少ないので夕食のおかずにとって置くといわれ、つまみにはしてもらえなかった。












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