2000年 11月4日(土)日立港内と久慈川河口            

      昨日も、今日もトボトボ


                               
             波は穏やかだった
昨日の石持釣り(11月3日)
昨日、久慈川河口に着いたのは、午前3時。
北風が吹きまくり、厚い雲に覆われた空から、パラパラと雨まで落ちてくる。
天気が何だ!と、”ラマンチャの男”達が、堤防添いに並んでいた、人気スポットは入り込む隙間もない。

バイクを止め、しばらく様子を見ていたが、釣り師達は堤防に打った杭の様に動かない。
魚はいないのか?。
”ラマンチャ”は、ジッと竿を見続け、アタリを待っている。
童謡の「いつ来るかわからない慌てもののウサギが、木の根っこに蹴躓くのを待つ百姓」と同じではないか。
陸の生活に耐え、深夜の雨風に耐え、”見果てぬ夢”を追う釣り師達よ、頑張れ!。

  
雨、風、おまけにフグの三重苦
釣り師達のいない所にバイクを止め、彼等の仲間入りをした。
磯5号の竿2本にケミホタルを付け、堤防の壁に立て、彼等と同じ様にアタリを待ち続ける。
僅かにうねりはあったが、比較的穏やかな海だった。
北風に煽られ時々竿先が震えるだけ、海からの信号は届かず竿は沈黙したままである。

1時間ほど待ったか。
前触れも無しに、いきなり竿先がビシッ、ビシッ、ビシッ!と連打。
全身に電流が走る、ん......?、それっきりだった。
瞬時に元の静けさ。
お頭の中でグラグラと湯が沸きはじめ、焦燥が頂点に達し、全身から力が抜けて行く。
声にならない”帰ろうかな〜♪”の歌が、口からこぼれ始めた。

天秤式仕掛けは直にダンゴ状になるので、胴突き仕掛けに切り替えた。
フグに餌を横取りされるので、餌も頻繁に付け替えた。
遠投と、近場と、交互にポイントも変えてみた。
1時間、2時間経過。
川は応えてくれない。
                                  
       1匹に全てがある、23cm
何時の間にか薄暗い周囲が、地元の”ラマンチャの男”達で賑やかになって来た。
竿先が、またヒク、ヒク、と動き始める。
今度は本物か?。
ヒクヒクが10秒続いた。
合せる、一本!、勝負有り!。
待望の1匹が上がる、23センチだった。
この後は、アタリ無し。
夜明けと共に、激しさを増してきたフグの攻撃に嫌気がさし、午前6時半現場を撤退。

     寒い夜だった
満天の星の下(11月4日)
満天の星空の下を歩いて行くと。
河口側は、昨日と同じほどの釣り人が、堤防の壁添いに点々と並び、昨日と同様、じっと立ったまま竿先に付けたケミホタルを見つめている。

風は無い、されど厳しい寒さだ、昨日の比ではない。
いつもの様に、行く手を阻みそびえ立つコンクリートの壁を、縄梯子をつたい、上り、そして下る。
この壁はプロとアマ、ファミリーフイッシングと釣り師を選り分ける壁なのか。
壁を越えると港の光りが、堤防際に屏風のように長く続くコンクリートの壁にさえぎられ、堤防の先は闇に消える。
人の気配は無い、テトラに砕ける波飛沫で、所々堤防の上は濡れて光っていた。

ヘッドランプの灯りを頼りに壁沿いに歩き、壁が尽きた所でその裏側に廻り、50メートルほど戻り、寸足らずで頼り気ない梯子を用心しながら降りた。
さらにそこから150メートル程湾奥に進み、街灯の下で荷物を下ろす。
廻りを見渡したが誰もいない。
                                           
我慢の夜よさらば
魚はいるのか?
此所はよく知る場所だが、この時期、魚がいるのかいないのか皆無である。
アジ釣りの竿1本を準備し、仕掛けを海に投入した。
時刻は、まだ午前2時だった。

北西の風が吹き、湾内は小波がタポタポと騒いでいる。
正面に、北斗7星が冷たく青く輝き。
寒気がジワジワと体を襲って来る、思わず手を擦り、足を擦る。
街灯の灯りに照らされた海を、電気浮子が静かに、ゆっくりと流れていく。
浮子に何の変化も表われない。
時々、仕掛けを回収し、餌を確かめるが、そのまま残っていた。

未確認物体
何度目かの回収だった、竿を軽く合わせ、リールを巻くと、竿全体にズッシーーンの衝撃。
何だ?、どうした?、ハズレた!!!。
仕掛けを回収し針を点検すると、大物を連想する透明な鱗が突き刺さっていた。

ドキ、ドキしながら餌を替え、再度、仕掛けを投入、待った。
浮子がさっきのポイントに来た、軽く聞き合わせる、浮子が一瞬に没し、グイーーンと竿が絞りこまれる。
重量感、ただもんじゃない!。
何を勘違いしたのか、正体不明は岸壁に突進してきた。
リールを高速回転させ、道糸をガンガン巻き取る。
敵が、急反転して沖へ。
竿を後ろに倒し、敵を戻そうとした瞬間、フワーーッと竿が真っ直ぐ元に戻ってしまった。
またも針に、魚の大きさを連想させる鱗。
何なんだ??。
ドキ、ドキしながらこの後、何度か同じポイントを攻めたが、2度と同じ様な衝撃きは起こらなかった。

                                              
タイムアウト
そしてやっと
また単調と、苦痛と、絶望との睨み合いが続く。
突然、浮子が、スパッと海中に没した。
だまされないぞ、と思いながらリールを巻き、道糸の弛みを取っておく。
5秒間待った、沈んだ浮子は浮上しない。
合せた、ヒット!。

さっき逃がした正体不明とは違う、軽い、でも結構な引き。
竿を立てたり、倒したり、慎重にリールを巻いて来る。
堤防際に近ずいた所で、ソーーレッ!、27センチの良形アジが足元に転がった。

今だ!、モタモタするな、この一瞬を制せよ!。
セカ、セカと餌を付け替え、ソレ、ソレと仕掛けを海へ。
どうした?、再び海は沈黙す。
浮子は何時まで待っても、踊らず、震えず、沈まず。
冷たい風が、今度は背中から攻めて来る。
北斗7星は次第に真上に移動して来た。
時々何かの物音に、ギクリとして後ろを振り向くが、街灯に照らされた広場には何〜もいない。

  
   逃げた1匹は小さかった
納竿
朝の5時頃に、17〜18センチのアジが続けて2匹来た。
そこまでだった。
後が続かない。
年配の御夫婦が隣りでアジ釣りを始めたが、ノビタと同様、浮子は沈まないようだ。
午前6時半納竿、魚入れの網袋にアジを入れ、海に漬けておいたのだが、網を回収したら3匹いたアジが2匹になっていた。
入り口の隙間から1匹、逃亡したらしい。

今日も帰りの足取りは、ザック、ザックではなく、ズル、ズルとトボ、トボになってしまった。

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