1999年 11月20日(土)阿字ケ浦方面堤防            
餌は釣れたのに♪


                                         夜明前、作業船が出ていく
誰もいない海
午前2時、満天の星と、港を照らす無数の灯りで、地上がボーッと霞んで見える。
旭村海岸のような真の闇の世界ではない。
勇気、凛々、足取りも軽い♪。

風に騒ぐススキの原っぱを通り抜け、堤防の上を歩いていると次第に汗ばんできた。
歩いて30分ほどで、目的の堤防先端に着く。
だ〜れもいない。
広い堤防をノビタが貸し切ったみたいだ。
これからは、夜討ち朝駆けには厳しい季節、何処の釣り場もこの時間はこんな状態か。
それでも魚チャンがいれば、意味のある夜討ち朝駆けなのだが...。

風は北西、海はベタ凪、今日は旭村の方が良かったか?
森羅万象(しんらばんしょう)一寸先の未来は分からない、旭村の石持が裏切らないとは限らないのだ。
どうせ読めない先のことなら、”ラマンチャの男”ノビタらしく、此所でヒラメを夢見るのさ。
今夜も水平線上にポツンと輝くいつもの星、今まで”しし座のレグルス”と思い込んでいたが、どうも間違いのようだ。
カミさんもあてにならないが、彼女は明けの明星”金星”だとのたまう、その明けの明星(?)の光が、黒い海に一条の光線をひき、ノビタの足元まで伸びている。

木枯らしの中で苦闘
投げ竿を2本と、サビキ用の竿1本を並べ終わったのは、午前3時。
北風小僧の寒三郎が、ヒュルルーン、ヒュルルーンと吹き抜けていく。
歩いている時は熱いほどだったのに、急激に体温が低下し寒さが身に沁みてきた。

  
   日の出が合図だった!
竿は微かに風に揺れるだけ、海からの反応がない。
いつの間にかきれいに餌が無くなっている。
この辺はヒラツメカニの繁殖地なので、餌はカニの餌食になっているのか。
サビキ仕掛けの電気浮子も、波にただプカプカと浮いているだけ。

寒さに耐えながら1時間。
突然、閃きが走る。
鹿嶋では沖アミで石持が釣れるとのこと、旭村では青イソメで釣れた。
なら結論は一つではないか。
沖アミと青イソメを両方同時に針に刺せば良ろしい。
原爆的効果を期待して、早速試してみる。。
が、思いっきり振られた、1時間何の変化もなかったのだ。
魚にとっては高級フランス料理並みの餌だったが、肝心の石持チャンが不在では...。

朝5時、作業船が水先案内船やタグボートを従え、華やかにライトアップされながら暗い海へ出ていく。
突然ノビタの後ろに自転車が止まった、
「どうですか〜?」
自転車の釣り人に、様子を聞かれる。
相手の顔は闇のなかだ。
「........ですよ」
別にノビタの答えを期待もしていなかったのか、後ろで早速釣りの準備を始めた。

                                           
ヒラメ狙いの竿二本
突然の来訪
朝6時、周囲もすっかり明るくなり、水平線上の雲間から日の出の光線が漏れる。
何の前触れもなく突然、
「...?」
浮子が沈んだ。
「!?」
竿を握る、リールを巻く、コマセ籠 + ? の重さを感じる。
続いてキュン、キュンと微かな魚の引きが手元に伝わってきた。

水面からコマセ籠、その後にピラピラピラと銀色に輝く破片が続く。
6本の針全てにピラピラピラ、いきなりパーフェクトだ。
巻き上げる途中で1匹落下したが、小鯵
5匹Get!
10センチ級と小振りだったが、待ち焦がれた嬉しい鯵チャンだ。
生きかしておかねばと、慌ててアジを網袋に放り込み、堤防の下の海につける。

すぐに仕掛けを海に投げる、浮子はそのままスーッと沈んでいく、キタ〜!
引き上げる途中でポロッ、ポロッと2匹が海にこぼれたが、ま、いいさ。
釣れたアジを闘牛師のように、
「オレーッ!」
と、バケツへ放り込む。
餌用は生け簀にキープ、餌にならない大きいい奴は、人間の食用として目の前のバケツ入り。

どんどん釣れる、果てしなく続く。
とうとう爆発した。
「○○のためにエンヤコ〜ラ、もう一つおまけにエンヤコ〜ラ♪」
○○はヒラメだったり、カミさんであったり。
                                      本日小鯵50匹程(写真は餌の残り)
神に感謝、神とは?
とりあえず「アーメン、南無阿弥陀仏、南無八幡大菩薩」
この騒ぎは20分ほど続いたか。            
しだいに釣れる数も減り、6時半にはピターッと釣れなくなってしまった。
後ろのおじさんも、ノビタと同様にバタバタと鯵を釣り、今、戦いが終わったようだ。
この前哨戦で、10〜20センチの小鯵を50匹程釣る。



夢は大きく結果は...
いよいよ本日のメインイベントだ。
竿2本の仕掛けをヒラメ釣り仕掛けに交換し、プルプルと跳ね廻る鯵君をヒラメ針につける。
仕掛けは弧を描いて、10メートルほど先の海に落下した。
「頑張れ日本!頑張れ鯵!」
「元気に泳ぐんだぞ〜!」
海底から、鯵の泳ぐ信号が竿先に伝わり、竿先がプルーン、プルーンと振えている。

まだか、ヒラメよ何処にいる?
1時間経過。
フッと何の気なしに後ろを振り向くと、隣りの釣り人が竿を大きく曲げながら、リールを巻いている。
竿は充分にしなり、獲物ならば期待出来そうな手応えだ。
ヒトデか、ゴミか?
離れた所から見ていると、おじさんが急にタモを掴んだ、何だ、どうした?
慌てて飛んで行くと、魚は既にタモに収まっていた、それはノビタが生まれて初めて見る魚だ。
体全体が、いのししの子供のような格好をし、腹に白く縁取りした黒い丸いワッペンを張った魚が、アジを一呑みにして上がってきた。
                                        
マトウダイ34センチ(隣りの釣り人)
これが最近話題のマトウダイか、
「これはマトウダイですか?」
隣りの釣り人は大きくうなずいた。
写真を記念に撮らしてもらう。
釣りたい!
この時から本命は、マトウダイになった。

釣り場に戻り、竿を見ると竿先はピクリともしていない。
どうしたのか?
仕掛けを回収してみると、さっきまであんなに元気だったアジが、口を開いたまま死後膠着状態で上がってきた。

無念の死(生きていて欲しかった)
気を取り直し餌を付け替える。
さらに1時間、本命の魚信は来ない。
餌を交換しようと、生け簀代わりの網袋を海から引き上げた。
ナイ!何処にもイナイ!ナッシングだ。

網袋の口をしっかり閉めなかった為に、全員脱走してしまったようだ。
しかたがないので、死んだ小鯵を餌にした。
いつの間にか周囲の海底はカニの楽園になったのか、餌を海に投入すると、たちまち針だけとなる。
この為、折角人間の食用としてキープした小鯵もどんどん、カニの餌となり消えていく。
隣りの釣り人はやる気満々だが、ノビタはすっかり戦意を喪失、午前10時に現場を撤退した。

 
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