1999年 11月27日(土)大洗某堤防                
蛸のリベンジを果たす♪

                                              日の出
釣り狂三兵
朝5時、闇の向こうから車のライトが近ずいて来る。
ノビタの家の前で止まった。
アジさんが、
「オハヨースッ!」
と、車から降りて来た。
竿1本と、獲物入れ用のコマセバケツ1個、それにリュックを、アジさんの車に積め込み出発。
薄い雲に覆われた夜空に、月が見え隠れしている。

大洗港午前5時半、明るいコンビニの前を通過すると、マツイさんがレジの前に立っていた。
車をコンビニまでリターンさせ、マツイさんと合流。
今日はアジさん、マツイさんと大洗某堤防攻略なのだ。
目的の堤防に着いたのが、午前6時前。
誰もいない堤防、穏やかな海、北西の風はさほど強くなく、寒さもほとんど感じない。
マツイさんは石持のポイントへ、アジさんは黒鯛のポイントに、ノビタはタコ釣りのポイントへそれぞれ散って行く。

タコはどうした?
午前6時、タコ釣りを開始、堤防の縁スレスレを根掛かりに注意しながら海底を探って行く。
10分、20分、30分..、1時間、2時間、ノー.アンサー。
タコは何処にいる?
時間の経過とともに、不安が増してくる。
タコ天仕掛けが、海底の凹凸をスキップする度に、エンヤコ〜ラ節がお脳に流れるのだが、いつのまにか、焼けとなり、糞となってきた。
午前8時を廻った。
早々と、心は、迷、焦、乱、惑の状態から倦怠モードに移行していく。

 
ノビタ式タコ釣り仕掛け
始めの一匹
午前8時10分、仕掛けが、ムギュッと海底で何ものかの手で捕(つか)まれた。

「キタ〜!」
ガーンと竿を大きく合わせる。
針がタコの体を貫いたようだ。
敵はグワ〜と海底から持ち上がる。

ズッシリとした重量が竿を大きく曲げる。
これまでの焦燥が一気に吹き飛び、頭の天辺から足の先まで、パチパチと火花が出そうだ。
針をしっかりタコの体に食い込ませる為、ガンガンと合わせを加え、リールを巻いてくる。
海中からズボーッとタコが、八本の足をバタバタさせながら水面に浮上してきた。
小振りだ、でも1匹は1匹である。

問題は、水面から堤防上まで6メートル、この高さをクリアして抜き上げなくてはならない。
1ケ月ほど前に、バラシ5連発をくらった身には自信がない。

                                               堤防の上の空
長さ2.7メートル、重り負荷120号の竿先を目一杯下げ、道糸を張り、
「......。」
呼吸を整え、
「南無八幡大菩薩、オ〜レッー!」
リールを巻きながら竿を、大きく振り上げる。
タコちゃんが、足元に転がった。
「ヤッタゼベービー!」
タコにとっては、晴天の霹靂(へきれき)。
大慌てで堤防の上を這いずり廻っている。
大きさは600グラムほどか?

近くで釣りをしていた若い人が、近ずいてきた。
彼と話をしていると、
「ノビタさんでは?」
と、問われてしまった。
彼は埼玉県大宮市の
「御気楽倶楽部」のBABOさんで、ノビタのHPと相互リンクしておられる方だが、今回初対面である。

タコと苦戦
午前8時半、堤防の際の海底にあるゴツゴツした捨て石の上を、ゆっくり仕掛けを移動していると、仕掛けが途中でSTOP。
仕掛けはピクリともしない。
これはタコだ。
タコにも生活がかかっている、だんだん水温が低下して獲物が少なくなってきた時期に、やっと捕(つか)まえた獲物だ、何でやすやすと手放すもんですか。
仕掛けを全力で引き上げようとすると、逃がすまいと必死にしがみついてくる。
海底の岩盤に八本の足と手を這わせ、餌を抱きかかえるようにして貼り付いているのだ。

海底にいるタコと、堤防の上にいるノビタは細い道糸で繋がっている。
タコには道糸の先が見えない、自分の未来が見えないのだ。
でもその先にいるノビタには、タコの未来が見えている。
君は今夜の夕げに、茹でタコと、お好み焼きになる運命なのだ。
ノビタは、ニンマリと笑いを浮かべる。
浮世の世界では、ノビタがタコの立場に立たせられているのかもしれないのだが...。

作戦の第1、タコの体に針がよく食い込むよう、
「その餌は俺のだ〜」
と、竿を大きくガンガンとあおり、タコをあせらす。
                                         今日の理由は風だった
作戦の第2、パンパンに張った道糸をすっかり緩めて、竿を堤防の上に置き、タバコに火をつける。
そして待つ。
5〜6分待ったか。
相手が油断しているであろうと、
ガーンと持ち上げの1撃、失敗!
全く動かない。

道糸を緩め、さらに15分ほど待った後、持ち上げの体勢に入る。
敵に感ずかれないように、ソロソロと竿先を降ろしながらリールを巻き、道糸の弛みを取っていく。
「ソレ〜ッ!」
ガーンと竿を跳ね上げる。
グワ〜ッとタコが海底から持ち上がった。
「ヤッタ〜、ざま〜みんしゃらせ!」
タコはスペシャルメニューのサンマの切れ端を食べる事に夢中となり、岩盤に張りついていた八本の足を離していたのだ。
作戦の第2は成功した。

大慌てのタコ、何かに貼り付こうと八本の足をバタバタさせてももう遅い。
水面に、今夜のお好み焼きが体を現した、先程の2倍以上ある良形のタコだった。
息を整え、
「エーイッ!」
瞬間、タコは餌を離し、黒い墨を吐きながら水中に逃走。
「バレタ〜〜〜〜」
土壇場で、タコは九死に一生を得たのだ。
タコは偉い!、自力で自分の運命を切り開いたのだ。

同じ事は2度ある、この後続けてまた3杯目も水面で取り逃がす。
今回持参したタコ天の針は、袖の長さが前回(1ケ月前)の2倍あり、はずれることはないと思っていたのだが....。

タコはよく釣れた
午前9時、仕掛けが海底に張り付いた、これは持久戦を制し難なくGet、大きさは始めと同じ、600グラムほどだった。
この後も次々とタコが海底に張り付き、それを制しながら、午前10時までに500グラムから1.2キログラムを合計4杯釣り上げた。
このうち2杯はアジさんにタモで掬ってもらい事なきを得たが、ゴウボウ抜きではかなり危ない状態であった。

PEライン3号
午前10時、海底の凹凸上の岩盤を、ゆっくりと仕掛けを移動していると、仕掛けがまた海底に貼り付く。
間違いなくタコだ。
10分以上そのまま竿を放置した後、引き上げの体勢に入り、竿をグイーンと持ち上げた瞬間、抵抗を失った竿が宙に跳ね上がった。
PEライン3号の道糸が、切れたのだ。
当然と言えば、当然のことだが...。

PEライン3号は、人間の髪の毛の太さと同じほどの細い糸である。
この道糸で、タコを釣り上げるのは芸術に近い。
それでも既に4杯のタコを釣り上げた、おそらくタコとの何度もの闘争で傷つき、ここまで持ったのが不思議状態だったのかもしれない。
「何故そんな細い糸で釣るのか?もっと太い糸を使うべきだ。」
釣りは芸術の世界さ。
人がこの世界に入ると、それぞれが自分の釣り方にこだわっていく。
ピカソの絵のように、芸術とは凡人には理解出来ない物なのさ。

気を取り直し、仕掛けを交換して、さらに2杯を追加した。
結局、タコとの勝負は6勝4敗、言い換えると6杯Get、4杯バラシ。
大きさは400グラム〜1.2キログラム。
仕掛けは、2個失ってしまった。

  
    本日釣果タコ6杯
アジさん、マツイさん、BABOさんの釣果
アジさんは、風はさほどではないが、風向きが昼近くから東風に変った為に、釣りにならず戦意喪失したとのこと、結局坊主だった。
でも夕方、12チャンネル(東京TV)の「釣りロマン」で高橋哲也が、強風の中、良形メジナを次々にGetしているのを見ると、今日の大洗の風はさほどではなく決して悪条件とは思えなかったのだが....。
何せ、釣れない時の理由には、ことかかないのが釣り師だからしょうがないか。

マツイさんは、本人が全く気がつかない内に30センチ強のカレイと、20センチ程の石持が釣れていた、おまけに12センチほどのハゼ1匹。

BABOさんは、40センチオーバーのアイナメをテトラで取りこぼし、24センチの石持、それにタコ、アイナメなどを釣り上げたようだ。
我々は午後12時半、BABOさん達より早く引き上げてきた。

タコの祟り
翌日の朝、カミさんが2階にトントントンと上がって来て、緊張した顔でドアを開けた。
「お父さんバイクがない!」
昨夜、自宅の駐車場から、いつも車と並べて置くバイクが盗まれたのだ。
カミさんの車に乗り、団地から東海駅まで探しに行ったが、あろうはずがない。

ホンダのリード50CC、走行距離2万7千キロメートルと、もうすぐ御役目御免でお蔵入りの予定だったから不幸中の幸いかもしれない。
ただ、光学25〜75倍のコンパクト双眼鏡(2万円程)も、バイクと運命を共にしてしまった。
寮や、海などの車上荒し、自転車泥棒、今度は住宅地まで侵入してバイクまで盗んで行く。
本当に嫌な世の中ですね。
皆さんくれぐれも油断するなかれ。
警察に届けろと、カミさんはいうけれど、無駄ですね。
警察に被害届けを出しに行く時間が、勿体無いと思う。
これはタコの祟りなのか。

 
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