あ〜ぁアジ爆釣♪
怒涛の海へ? 雲に覆われた夜明
折角釣ったタコを、土壇場で取り逃がした償いに。
やくざな義兄を、早朝のアジ釣りに誘った。
午前3時半、まだ暗い夜明前の街道を。
義兄のワゴン車が、サブチャン(北島三郎)のCDを鳴らしてブッ飛んで行く。
「・・・・
海の男にゃヨーー 怒涛が華になる
常盤の漁場はヨーー 男の死に場所サ〜♪」
ひょっとして義兄は、とんでもない妄想を描いているのでは。
冗談じゃないっス。
これから行く漁場は、風が吹いても、チャプンチャプンと小波が立つだけ、手漕ぎボートだって揺れんゾー。
水深も2メートルしかないんじゃーー。
と憂鬱になりながら、
「男の死に場所サ〜♪」
を聞いていた。
名も無き虫が
釣りを開始したのは午前4時。
竿を1本だけ出し、まずは様子を。
「待てば海路の日よりあり」と待つこと20分。
空一面を覆った雲から、ポタポタと水滴が落ちて来たが。
すぐ止んだ。
空が白み始めた時だ。
電気浮子の灯りが、急にピョコタンピョコタンと踊りを始めた。
「オッオッオッ!」
義兄の嬉しそうな声。
そのまま放置しておくと。
「アタッテル、アタッテル・・・・・オーーー!」
義兄の目玉が、オロオロとノビタと浮子を行きする。
急に、名も無き虫が、ムクムクと元気になり出した。
この虫、どことなく品が悪いのだが。
戦いは終った
浮子が消えた。
「オッオッオッ、沈ンダーー!」
義兄が、今にもキャインキャインと尻尾を振って鳴きそうな顔でこちらを見ている。
虫が、
「まだまだ、もう少し」
と囁く。
海中に消えた浮子がまた浮上し、ピョコタン、ピョコタン♪。
間違い無く針掛かりしている。
義兄のオロオロを見ながら、
「遊びはこれまで!」
と一気にリールを巻いた。
義兄がホッとした表情で、引き寄せられる浮子をジッと見つめている。
始めの一匹は、15〜16センチの豆アジだった。
義兄笑う
竿を義兄に渡し、ノビタ用にもう一本竿を用意していると、
「ウヒョーー、ヤッタゾーー♪」
義兄にダブルが来た。
やっと自分の自由になった釣りに嬉しそう。
義兄の顔は、まるでトッポジージョがガハハハハハと笑っている顔になっていた。
”一寸ノ光陰軽ンズベカラズ”
と今度はノビタが焦った。
隣りでまた義兄が、
「ウヒョー、入れ食いだどー!」
と追い撃ちを。
ノビタも入れ食い
もう一本の竿の準備に10分以上もかかって、やっとノビタも参戦。
第一投、30メートルほど沖で、ポチャーーン!と仕掛けが水面に。
と同時にビクビクビクと景気の良い引き。
「入れ食いだーーー♪」
いきなり5匹のアジをゲット。
この後も、まるで砂鉄が磁石にくっくようにアジが釣れてくる。
仕掛けは、餌無し、コマセ無しのサビキに、浮子を付けただけで。
本日釣果
爆発は30分だけ
やがて波間に漂う棒浮子が、拡散する白い光りの海原に溶けて判別しにくくなってくると。
アタリは遠くなり、そして消えてしまった。
爆発は30分ほどだった。
その後も名残惜しく、しばらく粘ったが全く反応無し。
不毛の戦いに終止符を打ったのは、午前5時40分。
怒涛の華も無く、死にそうも無かったが、アジの爆発に夢中になった義兄が。
満足そうに、ペットボトルのコヒー牛乳を片手に、アンパンにかぶりついていた。
朝の涼しい風が心地良かった。
本日釣果(2人) 15〜20センチ アジ 54匹
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