2002年12月21日(土) 日立沖釣り 

       運命の左舷


                       
   厚い雲の下
暗い影
日立フイッシングセンターサウス店の前で、荷物をバイクから下ろしていると、O(おー)が店から出て来た。
「おそい!」
と叫んでいる。

時計を見ると、午前5時5分時間通りだ。
Oは、午前4時に来たと言う。
店に入ると、先客がいた。
先客は栃木の人で、ここ毎週来ているが、2回ともボーズ。
くやしいので、又来たと言う。
我々の前途に暗い影がよぎった。

場所を選ぶ
暗い岸壁に浮かぶ龍翔丸に乗り込んだ。
煌煌と灯りに照らされる船上に客はまだいなかった。
場所の選定はO(オー)にまかせ、左舷の中央からややミヨシ寄りを選んだ。
超能力のない凡人の哀しさである。
この時点で、本日の運命は決まったのだ。

冬の海へ
午前6時出港。
気温は0度。
北風が吹き、空は雲に覆われ、今にも雪が振り出しそうな寒々とした天候だった。
龍翔丸は、エンジン音を轟かせ、海も空も見分けがつかない真暗な太平洋へ。

 「行かなくちゃ  君に逢に行かなくちゃ
  君の海に行かなくちゃ 」 by 井上揚水

 気になる向かいの船
右舷と左舷の明暗
30分ほど走った所で、釣り開始。
ひたすらアタリを待ったが、海は応えてくれない。
北風の冷たさが、身にしみた。

船はヒラメを求めて、点々と場所を移動して行った。
右舷側が、急に賑やかになった。
「お〜いタモタモ」
船長がタモを持って走る。
今度は、我々の背中側にいた釣り人が、一升瓶ほどの巨大なアイナメを上げた。
次は右舷トモの方で。
そして又右舷で、タモ、タモ、タモ。
ヒラメだ、アイナメだ、マトウダイだと景気のいい声が、飛ぶ交う。

その都度、左舷側にも緊張が走るのだが・・・。
左舷側は、いつもシ〜ンとしていた。
まるで宴たけなわと、お通夜が、同時に進行しているようだった。
                         
冬の海を行く
マトウダイ
午前11時。
うねりが次第に大きくなって来た。
船が揺れる中、根掛かりを避けながら海底を探っていると。
「・・・・?」
何となく、重さが加わった感じ。
リールを少し巻くと、ギューンと引かれた。
船長を呼んだ。
「ヒラメ、ヒラメ、ヒラメと頭の中で唱えないと、ヒラメがマトウダイに化けるぞ」
と、真面目な顔で船長が言う。

   
本日釣果
水面に表れたのは、マトウダイだった。
大きさは40センチを越える良形だったが。
船長は、
「そのまま上げな」
と言って去ってしまった。
いつもマトウダイは、まともに扱ってもらえない。
高級食材だが、釣り魚としては三流なのである。
おそらく引きあじが物足りない為であろう。
隣りの釣り人からも、マトウダイはいらないと一匹貰ってしまう。

賢いヒラメ
午後12時を過ぎると、風はさらに強く、うねりも高くなり、船が移動する度に、豪雨のような飛沫を全身に浴びた。
Oが海底から仕掛を取り込むと、イワシの頭とお尻につけた針の間を、ガブリと一口食べられていた。
日立沖のヒラメの賢さを、目の当りに見た感じだ。
この賢さを攻略できるか、何やらフアイトが湧いて来るのだが。
Oは、年内にこの雪辱を果たすと叫んでいたが、栃木のおじさん並みに、病的にならなければ良いが。

                        
頭と尻の針の間を
栃木のおじさんは、結局、今回もヒラメに振られてしまった。
午後1時、氷雨降る日立港に戻って来た。
新堤を見ると、この風と氷雨の中で釣りをしている人が3人。
座布団カレイは釣れたのだろうか。

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