2004年3月19日(金)三流の釣り場
            午後8時半〜午後11時半

     また負けた


昼間の出来事               街の灯も震える寒さ
2004年3月19日(金曜日)。
まだ夜に遠い昼間のことである。
Mr.Xがやって来て、目の前でニヤニヤしながら右腕をしきりに叩いている。
「どうした、ホコリか?」
と聞くと、今度は左腕を叩きながら、
「うで、うでだよ、腕」
「分かってるよ、それが足に見えるか」

先週、Mr.Xに木っ端微塵に負けている。
別に、勝負にこだわるほど未熟な人間ではないけど。
Mr.Xの得意そうな顔を目の前にすると、我が弟子ながら憎たらしい。
「ガハハハハハ・・・・・・・」
とMr.Xは豪傑笑いを残し、肩で風を切ってノッシ、ノッシと去って行く。
その後姿に、
「たかが小メバル20匹ではしゃぐとは、まだまだ修行が足りんぞ」
と声を出さずに言ってやった。

Mr.Xは今夜も行くと言う。
一人よりは二人の方が張りがあるけど、また負けるのかと思うと気が重い。
舟島(巖流島)の決闘に、宮本武蔵は2時間も遅れて行き、巖流佐々木小次郎に勝ったが。
ノビタは、負けた時の言い訳のため、奴より遅く行くことにした。
何ごとも、成果を出せなかった時の理由を考え手を打っておく、それが大人の常識なのである。

Mr.X苦戦
現場に着いたのは、午後8時半を廻っていた。
毎度のことながら、広い堤防に釣り師の影はない。
テトラ側を見て行くと、例の場所に黒々と荷物が置いてある。
テトラの下を覗くと、黒い人影があった。

Mr.Xに間違いないだろうと、
「どうだ、釣れたか?」
と声をかけると。
「ダメダ、ダメダ、まだ1匹も釣れない」
とMr.Xの落胆の声が返って来た。
その返事を聞いた途端、目の前がパッと明るくなり、ホップ、ステップ、ランラン♪と、急に元気がわいて来た。
人の不幸は蜜の味、ひょっとすると今日は勝てるかも。

        青イソメ様
今夜の仕掛は、左写真に載せた市販のメバル仕掛だ。
浮子釣り用2本針仕掛の3セット入り、Mr.X推奨で、ノビタは最近、もっぱらこれを使用している。

そして今夜も餌は青イソメ様だ。
青イソメ様は、ミミズに小さい足を無数に付けたようなお姿をしておられる。
噂では、この青イソメ様を三杯酢に和えて小鉢に入れ、醤油を一垂れして、ソーメンをすするようにズズーッとすすると絶品らしい。
試食して見ようかと思ったけど。
遠い外国から遥々飛行機で旅し、常磐高速を車で日立方面まで来られた高価な青イソメ様を、人間が食するとは失礼な話しだと、思い留まっている。

日本にも昔はいたそうだが、環境破壊で絶滅したようだ。
「自然を返せ〜!」と誰に言やいいの?。

メバル釣り
メバル釣りのおもしろさは、その引きである。
黄金色した体は、小麦色した女の艶麗さと爽愁の趣があり、そして手に取ると大きな目をまじまじと瞠り、とても色っぽい。
そんな彼女の何処にあのパワーが潜んでおられるのか。
特に夜の浮子釣りは格別である。

電気浮子をスパッと消し込む瞬間は、宙を跳ねる中国舞踏を思わせる鮮明さ。
居合い抜きの要領で合わせても、小物故なのか、賢明故なのか、針がかりしない悔しさ。
逃げたメバルも一瞬、「釣られなくて良かった♪」とセブンイレブンのCMのような冷や汗を流したのでは。
何度も浮子を消し込むが、実際にヒットするのは4〜5回に1回である。
打率2割〜2割5分と言った所か。
野球で言ったならば中流打者と呼ばれるレベルでも、釣り師としては初心者レベルである。

寒い夜を耐える
2週間もすれば桜が咲く季節だというのに、今夜は0度を切る寒さ。
夜空に浮かぶ薄雲の合間に、星が氷の結晶のように輝いている。
北風に体の芯まで冷やされながら、じっと浮子を見つめ、ひたすらその時を待つつらさ。

「真の悦楽には剛健の気配が、どこかになくてはいけない。ここが大事なところである。悦楽はそれに溺らせきらさない何事かとの争いのなかにかろうじて汲み取れる一滴なのであるから、ホイホイぬくぬくしていては、いけないのである」(開高健)
ポカポカ陽気のもとでの釣りは、阿呆者の釣りだと尊師は言うけど。
真夜中、寒風にさらされながら鼻水を垂らし、釣れもしない魚を追っている姿は、決して利口な人間がやる事とは思えないな〜・・・・。

                              
本日釣果
今夜も負けた
午後の9時過ぎまでに3回、浮子を消す豪快なアタリがあり、そのうちの1回をものにしたが、それっきりだった。

その後、4〜5回アタリがあったけど、全て空振りに終る。
午後11時半、納竿。
何と、Mr.Xは、苦戦、苦戦と言いながら、7匹も釣っていた。
あいつは、師匠に対する遠慮という奥ゆかしさがない、これからの日本が思いやられるぞ、トホホ・・・・。
暗い夜道を、足を引き摺りながら帰って来た。

「奮闘努力の甲斐もなく
 今日も涙の 今日も涙の
 日が落ちる 日が落ちる ♪」(男はつらいよ)

本日、釣果。
      メバル15cm 1匹

The End
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