2004年7月7日(水)東海某堤(黒鯛釣り)
             午前0時半〜午前4時半


  
  エキサイテイングな夜

蒸し暑い夜だった                     戦い済んで夜が明けて
頭上に半月が煌煌と輝き、その明るさに星が霞んでいる。
風は殆ど吹いていない。
気温が高く、湿度も高く、ただ立っているだけで、汗が全身を這って行く。
闇の向こうで、投げ竿につけた鈴が時々鳴り響き、人声が。
アナゴでも釣っているのだろうか。
ノビタの周囲に人影無く、此所は全ての生き物が熟睡しているような深い静謐の中だ。

今夜は、黒鯛を少なくとも1枚はと、全身が火だるまのように燃えていた。
一昨日、ドラえもんさんと、Fisherさんの黒鯛釣り師の御両名に、釣り方を手ほどきしてもらい、後はその技術を試すだけ。
釣りを開始する前に、浮子下の棚を計った。
棚は、針の先に6号錘を付けて沈め、1号浮子が水面スレスレに浮く深さにした。
いつもは人に聞いた棚にするのだが、一生一度かもしれない大勝負を体感したかった。
結果からすると、これが効を奏したのではと思うのだが・・・。

初めの1匹
戦闘を開始したのは、午前0時半。
コマセを撒きながら、その時を待つ。
1度、浮子がピクピクと動いたが、それだけだった。
その後は、シーーンとした闇の中で、電気浮子がボーーッと水面を照らしているだけ。

午前1時、浮子がピクリと動いたような・・・・。
誘いを掛けてみようと、竿を僅かに引くと。
ガツ!と根掛かりのような感触。
「・・・・・・・・?」
リールを少し巻いた瞬間、いきなり竿が張り倒され、ジーッ、ジーッ、ジーッと緩めにしておいたドラッグの限界を越えて、道糸が沖に向かって走る。
あまりにも突然だった。
心臓がバタバタとはためく。
竿を起こし、しばらく道糸を出放しのままに。

   
カイズサイズだ
竿を起こしながらリールを巻くと。
竿が、ガンガンガンと連打され。
また道糸が、ジーッ、ジーッとリールから出て行く。
やったり、とったりしながら、テキを岸に近ずけた。
岸から10メートルほど先で突然、水を裂き、バシャバシャバシャと水面に跳躍。
その音は、雷鳴の如く闇を裂いた。
「静かに、静かに」
と乞いながら、竿を倒してテキを水中に戻し。
またジワジワと寄せてくる。
抵抗が弱まるのを待ったが、抵抗は弱まらない。


機を見て。
水面に引き上げようとすると、バシャバシャバシャと、激しく抵抗を繰り返し。
ジーーッ、ジーーッ、ジーーッとリールから道糸が出ていく。
いつまでもこのままでは・・・と、ハリスの太さに全てを賭けた。
ドラッグを締め、竿先を海面に近ずけ、糸の弛みを取り、
「南無八幡、エーーイッ!」
と陸へハネ上げた。
バタッ、バタッ、バタッとテキが地上で暴れている、ホッ。
針を外そうとすると、針は上唇にチョコッと掛かっていただけ、危機一髪だった。
時合をものにしようと獲物をスカリに入れ、すぐ仕掛を海に返した。

汝の敵を愛せよ
この後も時速2匹のペースでヒット!。
「ビーバ!(万歳)、ビーバ!、ビーバ!」
の連呼だ。
その都度、そのダイナミックで、エキサイテングで、スリリングな引きに、翻弄されながら陶酔し、昂揚し、虚脱し、ヘトヘトになる。
合わせのタイミングが遅れ、何度も針を呑まれ。
その度にハリスを切り、針を付け替え、浮子下の棚を調整し・・・・。

パラグァイ河に棲む黄金色の魚ドラドは、その闘争力を称え、ティーグレ・デ・リオ、”河の虎”と呼ぶそうな。
ならばこの黒鯛は、海のブラック・ジャガーと称してもよいのではないか。
その姿華麗。賢者で用心深く。不屈の闘争力。
頭の天辺から尾の先まで、みっちりニトログレセリンがつまっている。
猛烈な突進。右へ。左へ。沖へ。海を裂き。天を突き。
全身でたたかって、疲れをしらず。
果てること無き戦い。
その生を惜し気も無く燃焼する。
惚れたよ。お前に惚れた。

納竿
いつか空が薄っすらと青みがかり、次第に朝が輝きを増し、日が雲間から顔を出した。
その瞬間、あたたかい高まりが、澎湃とさしてきて全身にみなぎり、豊潤に昇華していく。
「生きていて良かった」
と言いたくなるような夜明だぜ。
コマセがなくなり午前4時半、納竿。

午前5時、釣った黒鯛を冷蔵庫に入れていると。
カミさんが寝ぼけ眼で2階から降りて来た。
「黒鯛釣れた?」それに応えると。
「1匹?、2匹?」問いは2匹で終わる。
カミさんには、2枚以上は現実離れしているのだ。
9枚釣れたと応えると。「ギョェーーーーー!」とカミさんがブッ飛んだ。
4年ほど前、32センチの黒鯛を1匹釣った時、ノビタは天狗になった。
今回は・・・・?。
冷蔵庫から缶ビールを取り出し、一気に飲む。
缶ビールが、これほど美味いと思ったことは無いのでは。

本日釣果
  黒鯛   26〜29cm    9匹
































The End。
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