2004年7月21日(水)日立沖釣り(スルメイカ)
             午後6時半〜午後11時半

  
  イカ釣りの超名人に遭遇

雨上がりの出港                            ベタ凪
午後5時40分、定刻より10分ほど遅れて、龍翔丸は桟橋を離れた。
停泊中の船の中で、雨が上がった後のうだるような暑気に、精神が伸びきっていたが。
船が海上を疾走すると、風に心地よく体を冷やされ、全身に活力が蘇った。
龍翔丸は一路、南東に向かう。
雲の裂け目から日没の光線が幾状にも放射され、海上は徐々に黄昏色を濃くして行く。

  
前方に虹の断片が

午後6時半に、船は目的地に着いた。
船の前方の白い雲をバッグに、虹の断片が弧を描く。
床に油を流したような光沢を発する真っ平らな海。
信じられないようなベタ凪だ。
風無し。
船が停止した途端に暑気に襲われ、汗が噴き出したので。
ポロシャツ1枚となる。
早速、サビキ仕掛で大アジ釣りを開始したが、船上、全くアタリ無し。
その漁場に見切りをつけて、次の漁場に向かった。

いきなりイカの猛襲
次の漁場で、再び釣りを開始。
アジ用サビキ針を、60号の錘を付けて、ドボーーン!と海へ。
仕掛が海底に落ちて行く途中で、ググッとブレーキ。
竿を持ち上げると、ググッ、ググッと手元に嬉しい便り。アタリだ。

アジの口は弱い、壊れ物注意を扱うように、ソロリ、ソロリ、と引き上げてくると。
ナント!水面に体を現したのは、イカだった。
すぐイカを取り込み、仕掛を海に返すと。
また落ちて行く途中でブレーキ。またイカだ。
船上は、一気に沸騰した。

船長も参加、すぐ3ハイ釣った所で携帯電話が鳴り、竿をロッドキーパーに置き、仕掛を水面直下に沈めたまま電話に出ていると、その竿がグングン海面に引っ張られている。
上げるとイカだ。
                                               
インカ帝国
「こんなに釣れて、インカ帝国!?」
と期待が高まったのだが・・・。
サビキ仕掛をイカ仕掛に交換した途端、ナイジェリア。
その騒ぎ、僅か10分ほどだった。

凄い達人
午後7時、船の集魚灯が煌煌と黒い海面を照らす。
飛魚が、何匹も海面を飛び交い。
体長80cmほどのシイラが、小魚の群れを右に、左に追い。
その小魚の群れの中を、イナダが疾しる。
空からカモメが降って来て、小魚を掠め取って行く。
まるで弱肉強食の悪魔の祭典だ。

釣りを開始して30分ほど経過した頃、ピタッとイカの便りが消えてしまった。
手持ち無沙汰になり、右隣りの手釣りの人を見ると。
なんと!イカをまだ釣り続けているではないですか。
まだいる。
俄かに真剣になって、闇雲に竿をしゃくるのだが。
闇夜に鉄砲、まるでテキの手応え無し。

隣りの達人は無表情な顔で、黙々とイカを釣り上げている。
大体、百戦錬磨の釣り師の顔は無表情だ、感情を決して顔に表さない。
周囲に釣れている事を悟られないよう、カモフラージュしているのだ。
ノビタのようなヘボは、すぐ感情を顔に表すので、釣れるとあっと言う間に周囲は、釣り人だらけとなり。損をしている。
ヘボか、名人かは、顔を見ればすぐ分かる。

ノビタと達人の違いは?。
と達人の仕掛を観察すると、いつの間にか彼の仕掛はプラズノから、糸巻き仕掛(浮子スッテ)に変っていた。
その糸巻き仕掛は、龍翔丸オリジナルのスルメイカ仕掛と同じ。

 
龍翔丸仕掛
慌てて龍翔丸オリジナル仕掛に替えて。
やっと1ハイ掛けたが、後が続かない。
達人は釣り続ける。
戦いは勢である。
孫子曰く。
「激水の疾き、石を漂わすに至るは勢なり」
技だけでなく、そこには怒涛のような勢い、気合、念力、気迫などの目に見えない力が左様しているのか。

達人の栄を、少し分けてもらおうと、
「棚は何メートルですか?」
と聞いてみると、25メートルと教えてくれた。
ソレーーーッ!とばかりに、リール兼用棚センサーで海面下25メートルの所に仕掛を合わせ、1〜2回しゃくるとググッと来た。

達人が何メートルか?逆に聞いてきたので応えると、無表情にうなずいた。
同じ棚で2ハイ釣ったが、またアタリが消える。
隣りの達人を見ると、やはり切れ目無く、2ハイ、3ハイ掛け、時には4ハイ掛けしている。

「棚は何メートルですか?」
とまた聞くと、35メートルの返事。
その棚に合わせると、またググッ!。
その棚で1〜2ハイ追釣すると、また気配が消えてしまった。

「棚は何メートルですか?」
とまた聞くと、15メートルの返事。
達人は、正確にイカの浮遊する層を追跡しているのだ。
いつの間にか達人の足元には、100ハイほど入る樽が3つ並べてあり、それぞれにイカを分けて釣っている。
まさにイカキラーだ。イカの天敵だ。

最高速コンピュータと最低速コンピュータ
イカの棚は、めまぐるしく変化している。
その変化を、達人の頭に内蔵されているコンピュータは、イカの位置を正確に捉へ、その指令に追随して、手が仕掛を誘導しているようだ。
ノビタのコンピュータは計算が追いつかず、ギブ・アップ!。

達人とノビタのコンピュータの性能の差は、達人はインテルPentium4プロセッサ4.0GHz、主メモリ4GBに対し、ノビタはインテルCeleronプロセッサ400MGHz、主メモリ250MBほどの違いがあるのかも。

達人の道具は江戸時代の手釣り仕掛。
ノビタの道具は最新兵器であるインターライン3メートルの竿に、PEライン4号、リールはコンピュータ内蔵の棚センサー付きだが。
釣れるイカの数は、達人が10ハイ上げる間に、ノビタは1.5ハイ。
まるで結果は、機関銃(達人の道具)と、火縄銃(ノビタの道具)の違いではないか。

達人の釣果
達人は、午後11時直前に釣りを中断し、釣ったイカを大容量のクーラーボックスに、樽から1ハイずつ数えながら移していた。
釣ったイカを全てクラーボックスに移し終ると、
「158ハイ」
と叫んだ。

ノビタにとっては、天文学的数字だ。
それから午後11時半までの間にノビタが4ハイ追釣し、達人は3ハイ追釣した。
ノビタは、最後の力を出し切って、必死にシャクリ続けた結果の追釣だが、達人はすでに余勢であり、時間つぶしだった。
達人がノビタのスカスカの樽の中を覗き、追釣したイカ3ハイを分けてくれた。
午後11時半、
「アデイオス!」
と龍翔丸は、戦場を後にした。

    
サバ4匹
女は・・・・
午前0時、家に帰るとカミさんが、セミが切れ目無くミンミン鳴くように話しかけてくる。
「何で達人のように、釣らなかったの?」
「仕掛が違うんじゃないの?」
同じだよ、と応えると。
「やっぱりヘボなんだ!」
「これだけじゃ、近所に御すそ分けは無理ね」
「イカどのように料理する?」
「イカ刺しと、煮付けと、天日干しにしてスルメにしてと・・・」
「サバは〆サバにして、それから・・・・」
この間は12ハイで機嫌が悪かったが、今日はご機嫌麗しいようで。
カミさんの方から、
「ビールのつまみに、イカ刺し作る?」
ときたもんだ。

そして午前1時。
「あ〜あ眠い、早く寝るんだぞ!」
と言いながら、カミさんは2階へ退場。
その後は、嵐が去ったようにシーーンとなる。
                                   
スルメイカ29ハイ
「お酒はぬるめの 燗がいい
肴はあぶった イカでいい
女は無口な ひとがいい・・・・・♪」
(八代亜紀「舟唄」)

やっぱり女は・・・・・。
とつぶやきながら、イカの刺し身をつまみ、冷えた缶ビールを飲む。美味〜い!。

本日の釣果
  スルメイカ  35〜40cm 29ハイ
         +      3ハイ(達人より頂く)

   サバ      34〜36cm 4匹

The End。
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