鯛釣りは今が旬♪ 昨夜の名残 ノビタは庶民派 「タナゴ釣りをしているノビタは魅力がない」 と掲示板に投稿してきた輩がいる。 余計なお世話である。 まさかノビタを、村越キャスターや、大塚キャスターと同じには見ていないだろうが・・・。 ー冗談じゃない! 彼等は単なる技術屋である、彼等と同じ扱いされたらこっちが迷惑だぜ。 はっきし言って、彼等が出演しているテレビを、昔、1度か2度、見たことがあるが、文学的な感動などひとかけらも感じられなかったね。 それに比べると、NHKの「日本釣りの旅」は良い、詩的叙情さがあり毎週欠かさず見ている。 ノビタは、どんな魚であろうと、釣る楽しさを感じることが出来る庶民派でありたい。 福沢諭吉の『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』を借用するならば、『天は魚の上に魚を造らず、魚の下に魚を造らず』ではないだろうか?。 いざ日立沖へ かなえ とは言え、釣り歴25年のノビタが、タナゴ釣りばかりしていると、鼎の軽重を問われるのもしゃくである。 そこで今日は、日立沖の真鯛釣りに挑戦してみた。 午前5時15分。 外は、まだ暗い夜の底に沈んでいた。 さきほどまで降っていた雨のせいか、わりと暖かい朝である。真冬の朝駆けは、ノビタのような精神が脆弱な人間にとっては、清水の舞台から飛び降りるようなもの。 「イクゾーーー!」と声を張り上げ、玄関から飛び出した。 日立沖の鯛釣り 釣り日和 龍翔丸は定刻の午前6時に、日立港第5埠頭を出航した。 海上には、昨夜の雨の名残である黒い雲が横たわっていた。 多少うねりはあったが、風も波も気にならない程度である。 6時半、釣り場到着。 すっかり空は白んだが、まだ陽は雲に隠れていて寒々としていた。 「プー」 と今日はじめの釣り開始の汽笛が吹鳴。 続けてミタ船長の、 「反応が出ているよ」 の声が、スピーカーから飛んできた。 水深70メートルの底を、しばらく探った後、 「プー」 の汽笛で全員仕掛けを回収し、船はポイントを移動。 第一投目は全員空振り。 エビで鯛を釣る 名人の教え 仕掛けを船上に引き上げた時だった。 「それじゃ駄目だよーー!」 と左隣りにいた名人が、ノビタの仕掛けやエビの付け方を見て叫んだ。 ノビタの仕掛けは自作したもので、メバル針11号に針のチモトに夜光玉を付けていたのだ。 かつ錘も銀色に輝く、例の大塚キャスターご推薦のもの。 名人が言うには、鯛は光物を嫌うので光物はすべて外し、エビは針の袖に平行になるように付けるべしと教えてくれた。 名人は百戦錬磨の風格があり、その説明も自信にあふれていたので、彼を即信用し。 仕掛けは、龍翔丸のオリジナルに、かつ錘は光らない普通の50号の錘に交換し、エビの付け方も彼の言う通りにした。 始めの1匹 午前7時半。 本日最初の陽射しが、海上に降り注いできた時だった。 錘で海底をトン、トン叩くようにして探っていると、 「ククーー、ククーー、ククーー・・・」 と海底から応答が・・・。 竿をソロソロと持ち上げると、慌てて逃げようとする敵の動きが、竿を持つ手に明確に伝わってきた。 使用した仕掛 「サトウさんキタか?」 とミタ船長の声が空から降ってきた。 ミタ船長は、2階の操舵室から釣り師全員の様子を見ているのである。 頭を大きく上下させて応えた。 水深70メートルから引き上げた始めの1匹は、25センチほどの花鯛だった。 この直後に、またアタリ。 先程より強い引きが。 心臓がウサギのように跳ねた。 錘負荷20〜60号の柔かい竿が、ググッ、ググッ、ググッとリールを巻いて来る途中で、何度もお辞儀を繰り返している。 船上に取り込んだ本日の2匹目は、30センチオーバー。 それを見た隣りの名人、 「それは真鯛だよ。姿形は良く似ているけれど、花鯛と真鯛では味が全然違う」 と教えてもらった。 午前10時までに、30〜35センチ真鯛を4匹、25センチ前後の花鯛を2匹釣った。 ノビタが陣取った釣り座は、右舷の中央からややミヨシ側。 左舷側の様子を見に行った名人が、 「今日は左舷側が景気が良い。左舷側は全員、2桁は釣ってるよ」 と言っていたが、生まれて初めて真鯛を釣ったノビタは充分満たされていたので、気にならなかった。 ああ、無情 そして、運命の午前10時半過ぎ。 ノビタが真鯛を追釣し、針に餌を付け替えていると。 ノビタの右側、一人おいた釣り師が、5本針全てに25センチ級の沖メバルを掛け、船上に取り込んだ。 それと同時に、 「海中が真黒なほどの反応だよ!」 とミタ船長の割れるような声が、スピーカーから発射された。 この直後、船上が騒然となり、次々と歓声の渦が。 ノビタも慌てて、錘50号を付けた仕掛をドボーン!と海へ。 リールの水深メーターが、5メートル、10メートル、20メートル、・・・・とカウント・アップしていく、それを急げ、急げ、と見守っていると。 30メートルを過ぎた所で一瞬糸がふけ、その直後、バシッと竿が張り倒された。 ーアタリだ! でも・・・海底まで70メートル、こんな中層でメバルが食いつくか?。 リールを巻いた、道糸が横に走る。 「サバだーーー!」 そしてまずいことに、右隣りの人の道糸まで引っ掛けてしまった。 右隣りは松戸からきた人で、今朝船に乗った時に、隣りでやりますのでお祭りになった時はどうかご勘弁を、と挨拶された人。 おかげで気を悪くしないでもらえたが、お祭りした仕掛を解き、仕掛を再度海に投入した時には、メバルは海から消えていた。 ーレ・ミゼラブル! フランス語で「ああ、無情」である。 船上がメバルの入れ食いで沸騰したのは15分ほどか、”はやきこと風の如し”の勢いでメバルは、一瞬にして何処かに去って行ったのである。 この好機に、25〜35センチ級メバルを20匹以上釣った人もいたらしい。 ノビタに仕掛を引っ掛けられた右隣りの人は、それでも40センチ級の巨大メバルと、尺メバルを、それぞれ1匹ずつゲットしてもらえたので、不幸中の幸いと言うべきか。 納竿 この後も、メバルは船上でポツリ、ポツリ上がっていたが、ノビタには最後の最後までメバルは来なかった。 ノビタに来たのは全て真鯛だった。 これも不思議でならない。 ま、ノビタのような技で魚を釣るのではなく、運だけで釣りをする人間が真鯛を12匹も釣っただけでも幸せであったけど・・・。 でも右隣りの松戸から来た釣り師の、40センチ級の沖メバルが頭に焼きついて離れない。 これはどうしてもリ・ベンジするしかないようだ。 ーさてリ・ベンジは何時にするか?。明日か、明後日か・・・・。 沖上がり30分前、周囲でホーボーなど混じりで釣れ続いている時に、根掛かりしてしまい皆さんより早く納竿。 本日釣果 真鯛 30〜35センチ 12匹 花鯛 20〜25センチ 2匹 サバ 35センチ 1匹 本日の釣果 The END |
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