2007年12月12日(水)  湊寄りの堤防
                午後5時〜午後7時半
ノビタの釣り天国



        こんな日もある
   

脇道から
パッとしない釣果の日は、釣りとは無縁の話しから。

女優の室井滋のエッセイ『東京、バカッ花』に、こんな話しが載っていた。
父親が、大学に通っている娘の様子を見に富山から上京、娘の住むアパートに行くと。
娘は不在、父は新聞広告のチラシの裏に書置きをして帰って行った。
この書置きが良い、下記(全文引用)。

「三日の昼に来て1泊
 何日も家を空けるお前
 部屋の乱雑さ
 お前には愛想がつきた
 勝手に遊び歩けば 楽しいでしょう
 四日午前七時 富山へ帰る
 
 利口な父 室井幸雄
 馬鹿な娘 室井滋 様

 今度の部屋は広すぎた
 六畳でよかった
 馬鹿目!」

”可愛さ余って憎さ100倍”の父親の思いが伝わってくるゾ。
室井滋の父親は普通のサラリーマンだが、この書置き文豪顔負けの名文ではないか。
たとえ父の思いが娘に伝わらず、手紙を読んで娘が腹を抱えて笑い転げていてもだ。
結局、馬鹿な娘は留年を重ね、大学7年目にして中退。
でも今は、室井滋と言えば知らない人はないほどの一流の女優である。
室井滋の父は、娘が大学4年の時に、脳溢血で48歳の若さで死んでしまった。
だから残念ながら娘の成功は見ていない。

ところで家の娘はどうだ、
「ちいちいぱっぱ ちいぱっぱ
 雀の学校の 先生は
 むちを振り振り  ちいぱっぱ♪」
と黄色い声を張り上げていた頃は、たしかに我が家の希望の星だった。
そして今、カラオケで、浜崎あゆみの『About You』を歌えるほどに成長した。
でも・・・。
「親の希望(ゆめ) つぎつぎ消して 子は育つ」
    (サラ川傑作選 『ごにんばやし』)
と、星とは全く無縁だ。
ノビタも親の希望(ゆめ)とは無縁だった、やはり”トンビが鷹を生むことは無い”のだ。

曇天の空の下で
ーいない。
階下に降りると、すでにカミさんが消えていた。
釣りに行くと言うと戸締りが面倒なので、
「お先に、ご免!」
と慌てて家を飛び出し、畑に行ったのだ。

戸締りをして玄関を出ると、北風が顔を刺した。
空も、一面雲で覆われている。
二の足を踏むような冬空だ。
でも潮の動きはこれからと、渋る気持ちを奮い立たせロシュナンテに乗った。

そして海。
既に黄昏濃く、港のあちこちに闇が溜まりはじめていた。
北東からの風が、パタパタと船の旗を翻している。
波がふくれて次々と岸に打ち寄せ、ダップン、ダップンと堤防下で砕けていた。
遠くにヘッドランプの灯りが一つ、チラチラしているだけ。
港は貸切状態だ。
今日は、5.3メートル磯竿1号1本だけで勝負する。
仕掛けは、3号の電気浮子、針はメバル10号1本、餌は青イソメである。

CLASSICS 2005
今夜はiPodに、ユニバーサル ミュージックの『CLASSICS 2005』に収録されている曲を選曲し、搭載してきた。
『CLASSICS 2005』に収録されている曲は、各曲が3分〜5分程度のイージーなクラシックで、ほとんどポピュラーなものばかり。
iPodに搭載したのは19曲、その中には現在18才の妖精ヘイリー・ウエステンラ(フジテレビ系ドラマ『白い巨搭』の主題歌(アメイジング・グレイス)を歌った)が歌う『ネヴァー・セイ・グッバイ』や、女性歌手サラ・ブライトマンが歌う『ウィッスル・ダウン・ザ・ウインド』や、シークレット・ガーデンが演奏するテンポの速いケルトの舞曲『リール』など。

なかでも1999年ラグビー・ワールド・カップのオフィシャル・テーマ曲となった『ワールド・イン・ユニオン』が良い。
これはホルストの組曲『惑星』の”木星(Jupiter)”に歌詞をつけたもの、日本では平原綾香が『Jupiter』の題で歌い、ミリオンヒットさせた。
このCDに収録されている『ワールド・イン・ユニオン』は、バスをブリン・ターフェル、ヴォーカルをシャリー・バッシーが担当しているが、その重厚さ、荘厳さ、臨場感に圧倒される。平原綾香が歌う『Jupiter』を超えているような気がするのだが・・・。

現代クラシックという先入観から、初め拒絶反応を引き起こしたが、その新鮮な感覚にすっかり魅了されてしまったよ。
冬、誰もいない夜の海でクラシックを聞く、これ以上のシチュエーションがあるだろうか。

はじめの1匹
午後5時、iPodから流れるクラシックを聞きながら。
電気浮子を付けた仕掛けを、墨を流したような海にポチャーーン!
数分経過。
波間に揺れていた浮子が、海を赤く染めて沈んだ。
・・・が、浮子はすぐ海面に浮上。
そしてまた沈み、浮上。
このアタリはこれでジ・エンド。
歯がゆいアタリだった。

それから10分。
浮子がまた、海中を赤く染めながら真っ黒い海に消えて行った。
バシッ!と竿を振り上げる。
ー手応えアリ!
横に走る敵を慎重に引き寄せ、そのまま堤防の上へ。
はじめの1匹は、20センチほどのアジ。
狙いはそれたが、”来る者は拒まず”。
この後も、アジとメバルが、ポツリ、ポツリと電気浮子を海中に沈めた。
ただ今夜は、iPodから耳に流れるミュージックに心を奪われ、「心ここに在らざれば視れども見えず」で、釣りに今一集中できなかった。

納竿
午後7時、ひときわ強い引き。
一瞬、心臓がパタパタとはためいたのだが・・・。
正体は、24センチのタナゴだった。
以降、アタリが消えたので午後7時半、納竿。

「人生は一冊の書物に似ている。
 馬鹿者たちはそれをパラパラとめくっているが、賢い人間はそれを念入りに読む。
 なぜなら、彼はただ一度しかそれを読むことが出来ないのを知っているから」
      (ジョン・パウル)

本日釣果
メバル 20センチ前後 5匹
アジ  20センチ前後 4匹
タナゴ  24センチ   1匹




















The END
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