求めよ、さらば与えられん! 幕が下りる夕暮れ 決意! 午前6時15分。 まだ外は薄暗い。 パジャマのまま玄関を出て、門にある受箱に新聞を取りに行く。 予報では今朝の気温は零下7度だったが、肌で感じる寒さはそれほどではない。 東側に伸びる黒々とした家並みの上に、ピンク色に染まった空が広がっていた。 中天から西の群青色の空に雲はない。 ひさびさの真っ晴れだ。 風もなく、清々しい。 体中に元気が湧いてくる。 今日なら、なんでも可能になるかも。 ーよし、今日は勝負に出てみよう! 風の便り、尻切れトンボの情報、ちまたの噂、全てパッとしない。 しかたがないと、安易に「我と来て 遊べや親の ないメバル」と小メバルだけ追っていると。 ”見果てぬ夢を追う”という看板が、もの笑いに。 此処は男の意地の見せどころ。 行こう!まぐれや、奇跡や、偶然などの援軍を引き連れて。 「Go to break!」 英語で、 「当たって砕けろ!」 だ。 風と波が 竿を並べ終わって3分後 午後1時、現場着。 ナメタガレイ狙いの1本目準備完了し、仕掛けを堤防下に落とした途端に根掛かり、餌もろとも仕掛けを1個ロスト。 ナメタガレイ狙いの竿3本、マコガレイ狙いの竿2本を並べ終わったのは、午後1時25分。 空は”太陽がいっぱい”なのに、西からの風がビューー、ビューー吹いていた。 午後1時28分。 根掛かりしていないかの確認と、少し誘いをかけてみる目的で。 初めに仕掛けを落とした竿を少し持ち上げてみた。 と・・・。 グイ、グイ、グイと竿先が下に引っ張られる。 ーアタリだ! そのまま竿を堤防の上に置くと。 竿先に付けた鈴が、 「リン」、「リン」、「リン」 とお辞儀をしながら小さく鳴った。 後ろを通りかかった釣り侍が立ち止まって様子を見ている。 この大事な場面に、風が竿先をブルブル揺すって邪魔を。 竿先のお辞儀が止まった。 ー・・・? 3分ほど待って、 「ドンコでしょう」 と後ろで見ている釣り侍を牽制しながら竿を持ち上げると。 ググッ、ググッ、ググッと手応えを感じたが、リールを巻き敵を持ち上げてくる途中は、竿が風の抵抗を受け敵の重さがよく分からず、小ぶりなドンコだと思っていた。 だから。 ザップン、ザップンの海面に、良形のカレイが浮かんだ時には、思わず「ワオーー!」と叫んでしまったヨッ。 慌てて、隣りにいた釣り侍に竿を持ってもらい、タモを組み立てて引き上げたのは、45センチのマコカレイ! この瞬間。 ヘンデル作曲オラトリオ「メサイア」の、『ハレルヤ』の合唱が天高くこだまする。 もし今、ミロのビーナスが目の前の海に裸で出てきたとしても、 「邪魔だから消えてくれ!」 と叫んだかもしれない。 本日釣果 マコガレイ 1枚 45センチ ドンコ 1匹 25センチ The END |
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