2008年9月24日(水)  日立港
              午前6時半〜午後1時40分
ノビタの釣り天国



        泳がせ釣り第12戦


                              
     朝7時、碧空が見えてきた
おもろい本
目が覚めた。
スタンドを点け、時計を見ると午前2時半。
ーまだ早い。
釣りに行くまで大分間がある。
読みかけの、開高健の『日本人の遊び場』を読む。
本論から脱線してしまうが、おもしろい本なのでその一部を紹介したい。
特に、本の中で大阪出身の作者が、ユーモア溢れる文で、愛すべき大阪人を紹介している所が良い。
その一部が下記。

「釜ケ崎で暴動があったときのことである。
警官隊と住人たちがおしあいへしあいひしめきあって、たがいに血の雨を降らしあっている混沌のまっただなかを、四十がらみの女がなにやら叫びつつ走っていた。
左手で娘の手をひき、右手に風呂敷包みをかかえ、必死になって叫んでいた。

『どうだ、どうだ、石どうだ。
一コ十エンでっせ。
石買いはりまへんか。ええ石でっせ。
一コ十エンでっせ!・・・・・・』

人びとはなぐりあいをやめ、十エン払って女から石を買うと、てんでにそれを投げてふたたびなぐりあった。
女は翌日も乱闘の現場にあらわれて石を売った。
石はやっぱり”ええ石”であったが、一夜あけると一コ十五エンになっていたという。

まるで西鶴の『世間胸算用』を地でいったような話だが、事実あったことである。
この短い挿話のなかに”大阪”が煮つめられ、濃縮されて、その精髄のすべてがいきいきと語られている。
このようなことは大阪だけにしか起こらないことである。

同種の事件が九州や東京のどん底で起ったとしてもこのような光景が見られることは、まず、ないだろうと思う。
もし女が山谷にあらわれておなじことをしたら、どうなるだろうか。
おそらく警官隊と住人の両方から、『ナメるな』といって、袋叩きにされるにちがいないのである。
そこに”東京”気質と、”大阪”気質の決定的な違いがある。
・・・・・・」

この中に出てくるせこい女と、それを許容する男たちのおおらかさがとても良い。
杓子定規にしか物を見ない固い頭の持ち主たちに、大阪気質の粉末を少し飲ましてやりたいものだ。

快適な朝
午前4時半、起床。
トイレ、洗顔を済ませ。
「腹ガ減ッテハ戦ハ出来ヌ」
と餅を3個オープントースタで焼き。
熱い茶を啜りながら、餅を海苔に包んで醤油につけて食べた。
ゆっくり朝刊を眺めて時間調整し、家を出たのは午前5時半。
今日は、計画年休を取ったアジさんと、カンパチに再挑戦する日だ。
家から外へ出る。
夜はすっかり明けていた。
冷えびえとした冷気を予想していたが、外は以外と暖かい。
今日1日の天気を保証するように、東の空はオレンジ色に染まっていた。

アジさんは、一足早く現場に着いていた。
釣りの準備をしている彼に場所を変えないかと誘いをかけ、そこから200メートルほど離れた場所へ移動。
そこには、同床異夢の釣り士が10人ほどいた。
いつものように、竿は磯竿2号5.3メートルを2本出す。
雲多き空に、透き通るよな碧空が垣間見える。
秋風が堤防の上を通り抜けていく。
暑くなく寒くなく、顔を撫でる風がさわやかだ。
カラカラと転がって来た空の紙袋が、小波に覆われた海に落ちて行った。

                                     
風が吹いていた
悪戦苦闘
午前6時半。
冷凍イワシを餌にカンパチ釣りを開始。
同時に、磯1号竿で生き餌釣りも開始した。
いつものことながら、餌が釣れない。
時々、カンパチ釣り用の餌をチエックすると、イワシは頭しか残っていない。
どうやらフグに、骨まで愛されてしまったようだ。
冷凍イワシじゃ餌にならないと。
「南無八幡大菩薩サマ、南無八幡大菩薩サマ、ドウカ我ヲ見捨テタモウナ」
と竿をシャクリ続ける。

ノビタの声が天に通じたのか、餌釣りを開始して40分、とうとうアジが1匹釣れたけど、餌には大きいような。
アジさんが釣った餌もご同様のようだ。
「モット小サイアジヲナンテ贅沢デアル、贅沢ハ敵ダ!」
と言いながら、餌を、今釣ったアジに変更。

そして、午前7時43分。
初めにアタリが来たのは、アジさん。
アジさんの竿が大きくバウンドし、そのまま海に突っ込みそうになり。
発汗激闘の末に、35センチのカンパチを釣り上げた。

その数分後、ノビタの竿も大きくバウンド。
慌てて竿から命綱(ロープに大型の洗濯鋏みを付けたもの)を外し。
竿がギュイーーーン!と引き込まれた瞬間に、振り上げると。
「バレターーー!、カルカッターーー!」
手には、竿の重みしか伝わって来なかった。
針からアジは消えていた。
餌が大き過ぎたのだ、おそらく、たぶん、きっと。ーああ。

初めの1匹
午前7時半過ぎ、餌のアジがポツリ、ポツリだけど釣れ出し、中には餌サイズも混じるようになった。
今日も、浮子つきの泳がせ釣りだが、餌がカンパチの射程距離である沖へ泳いで行ってくれない。
積極果敢なアジは、10メートルほど沖の射程距離内に泳いで行くのだが。
臆病なアジは、沖に投げても射程距離外の岸壁スレスレに逃げてくるのだ。
「親の心、子知らず」ではないが、「釣り士の心、アジ知らず」なのである。
アジが岸壁に近づくたびに、沖に追い返していたよ。

午前9時20分。
ガーッ!と竿がコンクリートの上を引き摺られる音。
振り向くと、右側の竿が堤防の縁で、斜めになって落ちそうになっている。
命綱で、危うく落下をまぬがれている状態だった。
竿を掴み仰け反る、ガツーン!と強烈な手応へ。
今度は、しっかり針掛かり。
「エンヤードット、エンヤードット♪」
と堤防の上に引き上げたのは、34センチのカンパチだった。
青々とした秋空が拡がる
アジさんの社交性
それから1時間、海は沈黙する。
南からの涼風が、強い陽射しから救ってくれた。
空一面に青々とした空が拡がり、薄いガーゼのような雲が北から中天に伸びている。
いつか海は、池のように平らになっていた。

退屈したアジさんが、その辺にいる釣り士に話しかけている。
このアジさんの社交性にはかなわない。
いつも感心させられる。
「釣れましたか?」
「どうしてェ、釣れてんの?、・・・そうけ」
「ワームは、どんなの使ってんの?」
「リールは左ハンドルがいいぞ」
「餌が無いなら、活きのいいやつ上げるよ」
「おじさん、その探りじゃ駄目だよ。ノビタさん教えてやんなよ。タコの探り方を」
「餌が大きいと、大きい奴が釣れるから心配ない、心配ない」
「浮子下は3〜4メートルが良いよ」

と、相手により言葉使いや、話す内容が変化する。
彼は、ほとんど人見知りしない。
誰にでも話しかける。
だから、堤防に来るごとに知り合いがどんどん増えていく。
心配なのは、世話好きなところ。
人によっては余計なお世話と思う奴も、なかにはいるのではないかと・・・。
たまたま奥さんとケンカしてきて、頭の中はそのことで塞がっていて、親切がうるさく思う奴もいるかもしれないし。
でもそれをプラス、マイナスしても、プラスの方が多いことに間違いないようだ。

                                     
池のような海で
バラシ三連荘(さんれんちゃん)
と・・・。
10時25分。
右隣りの釣り士が、汗を頭から散布しながらカンパチを引き上げた。
測ると、39センチ。
ーたまげた!

11時、今度はノビタに35センチのワカシ。
午前11時10分、引きの強さがさきほどの倍以上に思えて、今度はカンパチと思ったのだが、40センチのイナダだった。

同じタイミングでアジさんが1匹バラス。
この後、アジさんの一人舞台となる。
午前11時35分に、30センチ。
午後12時7分に、36センチ。
午後12時35分に、37センチ。
と次々にカンパチを釣り上げる。

ノビタは、12時40分、50分、そして午後1時25分に、痛恨、落涙、悲惨のバラシ。
この瞬間、戦意が空っぽになり、午後1時40分、納竿。
悔しい、このままではカンパチ戦は終われないと、
「I Shall return」
を決意。
それはあさって。
もちろん、またアジさんにもつきあってもらう。

本日釣果
 カンパチ  34センチ  1匹
 ワカシ   35センチ  1匹
 イナダ   40センチ  1匹
 メジナ   24センチ  1匹(アジさんより頂く)






















The END
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