2009年6月19日(金)  日立沖 5目釣り
              午前5時45分〜午後1時
ノビタの釣り天国



           やくざな釣り


                                         
海は冬景色
釣り再開
大概の人間がそうであるように。
身についた習性ってやつは、切っても切っても切れないらしい。
釣りを止めようと一大決心をし、変わりの<感動>を求めて周辺を散策したり、イベント会場に飛んでいったり。
としばらくセンチメンタル・ジャーニーになっていたのだが・・・。
形状記憶合金が元の形に戻ってしまうように、未練断ちがたくまた釣りに。
ノビタにとって釣りを断つ決心なんて所詮、人生のエネルギーの無駄使いでしかないようだ。

寒々とした海
一月半ぶりの釣行は、かたさんと日立沖の五目釣り。
龍翔丸が日立港第5埠頭を離岸したのは、定刻より30分ほど早い午前5時半。
始めの戦場は、常陸那珂港沖3千メートル。
我々より早い先客あり、船腹に「さくら丸」と書いてあった。
煙に覆われたような灰色の空の下、鉛色の丘のような波が幾重にも連なって押し寄せ、龍翔丸を押し上げ、押し下げている。
冷たい北風に鼻水が止まらない。
まるで海は、季節はずれの”津軽海峡冬景色”である。

釣りはバクチだ!
釣りを開始したのは、午前5時45分。
ノビタの右隣の人が、第一投目で尺メバルをゲットした。
それから2〜3分あと、またも良形の黒メバル。
そして今度は良形のソイ。
今度は、40センチ級のサバ。
まるで彼の一人舞台だ。
ーどうなってんの?

右隣の釣り士と、ノビタの仕掛けは同じ、餌も同じ。
錘30号を海底に落とし、錘で底を取りながら魚が喰らいつくのをただ待つだけ。
あとは「一天地六(いってんちろく)の賽の目」である。
(サイコロの、一が上にある時は六が裏、すなわち運まかせの意)
その運を全て、右隣りの釣り士が持っていく。
まるで、サイコロばくちの丁、半、勝負をやっているような錯覚が。
「さて皆さん、丁、半でそろいました。
 ハイ。間違いございませんね。
 よろしいでしょうか。
 よろしいですね。
 いきますよ。
 ハイッ。勝負!」
ーカラカラ、バシッ!
サイコロ振りが籠を開き、
「二ゾロの丁!」
と怒鳴る。

右隣は丁に賭け、そしてノビタは半に。ーああ。
札が積まれるように、右隣りの釣り士の足元の樽は、黒々とした獲物で埋まっていく。
ノビタの樽の中は、まだ空っぽ。
どんなに頑張ってもダメな時はダメなのである。
たとえ、
「万国一天、四海同胞!」
「人類皆兄弟!」
「幸せは分かち合おう!」
なんて叫んでも、運は味方してくれないのである。

はじめの1匹
突然、
「ガッ!」
と一撃を喰らった。
竿先がギューンと引き込まれ、ラインが右から左に旋回していく。
久々の魚の感触に、体が弾んだ。
激闘、15秒。
黒々とした海面に白い魚体。

「サバだ!」
スピーカーごしにミタ船長の声が、
「サバは捨てないで持ち帰りましょう!」
まるでサバをゴミ扱いしているが。
サバは医学界では不飽和脂肪酸が多く、成人病の予防になると知られている貴重な魚。
なんで捨てられましょう。
はじめの1匹は、40センチほどのゴマサバ。
そのあとすぐ、先ほどより小ぶりなサバを1匹追釣。
多くを望まず。
「少欲知足」
今日のスローガンは、これで行こう。

お祭り
午前6時半、龍翔丸はアタリが遠くなった常陸那珂港沖を後にし。
針路を北にとり、移動すること20分。
新たな戦場で釣りを開始した。
ここでも勢いが止まらないのは右隣りの釣り士。
良形のソイを、次々と上げていく。

ノビタは、背中合わせの左舷ミヨシのかたさんと、お祭りを2度、3度と繰り返していた。
かたさんは人畜無害なので、何の問題も起こらない。
ところが、額に三日月の傷ならば早乙女主水之介(さおとめもんどのすけ)と正義の味方だが。
頬に斜めの刀傷、そして黒いサングラスときたら昔から悪役に決まっている。
そんなオッさんと、お祭りしたらどうなる。

これは昔、ノビタが本当にあった話し(舞台は堤防)。
「おいおい。人の邪魔をする気か」
とどやされ。
運悪く、仕掛けは相当に込み入ってこんがらがっている。
どうもすみませんと、額から油汗を流して仕掛けを解くのだが・・・。
なかなか解けない。
「モタモタするんじゃねェ。早く元に戻せ、こん野郎」
と、どやしつけられ。
もうこれはだめだと、自分の仕掛けをハサミでチョキン、チョキン切り離す。
これでやっと仕掛けのゴチャゴチャが解けたと思ったら、
「ガーン!」
オッさんの仕掛けまで切ってしまっていた。
「おい、おい。何すんねん。
 このおとし前、どうつけてくれるんや」
こうなったら一巻のお終わりである。
小指の1本は、覚悟せにゃならんのである。
(幸い、その時は小指は許してもらったのだが)
釣りは、本当に命がけや。

仕掛け
今回釣りをしたポイントは、後半は水深40メートルとやや深場に移動したが、メインは水深5メートルから14メートルの浅場狙い。
錘は浅場では30号、深場では50号を使用した。
仕掛けは胴突き3本針のメバル仕掛けで、ハリスの太さ2号、長さ30センチ、枝間60センチ、針はメバル針10号を使用。
ゴツゴツした磯場なので、根掛かりが激しい。
仕掛けのロスを気にしていると釣りにならないので、仕掛けも錘も10個くらい持って行った方が良いと思う。

久々の醍醐味
午前8時半。
”奮戦する者にだけ偶然が味方する”と、奮闘を続け、とうとう30センチ若のムラソイをゲット。
そのあと、26センチとやや小ぶりなムラソイを追釣。
左舷で釣りをしているかたさんも、ノビタと同じペースだった。
午前10時。
かたさんが尺オーバーの沖メバルのダブルをゲット。
そのあとすぐ、またも良形の沖メバルを追釣。

それを、垂涎の目で眺めていた時。
手に持っていた竿が、いきなりひったくられるようになぎ倒され。
「キターーー」
竿先が、グイーン、グイーンと海中に引っ張れていく。
この瞬間、全身が蘇った。
一撃、ニ撃、三撃・・・の追撃を浴びる度に、
ー逃げないでくれ、逃げないでくれ。
と祈るようにしてリールを巻いてくる。
                                         
 天国行き清涼飲料水
この緊張。
これぞ釣りの醍醐味。
これで良い。
これ以上の幸せなんて、考えられない。
闘うこと1分。
とうとう敵を船上に引き上げた。
赤く美しい魚体の沖メバル、それは尺を超えていた。

沖上がり
午後1時、沖上がり
数はそれほど伸びなかったが、久々の釣りに満足。
帰ってきて飲んだ発泡酒は、すきっ腹に効いた。
1本だけだが、アルコールが全身をかけめぐり、快い疲労感にテレビを見ながらそのまま眠ってしまった。
「日々是好日」
南無阿弥陀仏。


本日釣果
サバ  30〜40センチ 2匹
ソイ  26〜28センチ 2匹
沖メバル 30センチ  1匹
アイナメ 26センチ  1匹























The END
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