2011年4月30日(土)
          那珂湊 海水温 ー.ー度

ノビタの釣り天国


             いまを生きる

                                         62センチ!
汚薬御免
「疑心暗鬼というものは、
自分の眼で確かめることのできる現実の危険よりも、
一万倍も恐ろしいものです」
(『ロビンソン・クルーソー』byダニエル・デフォーより)
絶海の孤島で、見えない敵(人食い人種)に脅えるロビンソンの心情である。

疑心暗鬼なのか、確かな恐怖なのか、汚薬御免に悩む今日このごろ。
座して死をまつよりも、いさぎよく討ち死にするのが釣侍の道である。
ということで、
かたさんを道連れに涸沼川で、サヨリ軍を迎え討つことに。

午前5時20分。
釣り開始。
川は勢いよく上流から下流に流れていた。
昨年は沖めでヒットした。
岸から10メートルほどの沖めを狙う。
ところがどうだ。
浮子をつけた仕掛けを、沖に投げてもすぐ岸に寄ってしまう。
その度に投げ直す。
1時間投げ続けた。
まったく当りなし。

釣りは座禅ではない。
読書や音楽鑑賞でもない。
釣りは生死をかけた戦いである。
アタリのない釣りなんて、相手のいないボクシングである。
そんな釣りなら、ここに居る意味がない。
ー帰ろう!
午前7時、撤退を宣言。

あと片付けをしていた時だった。
「スズキだ、スズキ!」
とかたさんが叫んでいる。
片付けていた竿を放り投げて飛んで行った。
見ると、
口をパクパクしながらスズキが、水面をグルグル廻っている。
まるで、
サン=サーンスの『動物の謝肉祭』第13曲「白鳥」を元にしたバレー『瀕死の白鳥』を踊っているようだ。

今日のBGMは『Raise Me Up』
今日のBGMは、ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)の『Raise Me Up(私を押し上げて)』。
アイルランド出身の女性6人で構成される音楽グループ。
英語なので散歩では、メロデーだけを楽しんでいるが、日本語訳の歌詞は元気を与えてくれる。
訳はおなじみのKeiさん。

「うちひしがれて 心の底まで萎えた時
苦しみでこの胸がつぶれそうな時
私は静かにここに立ち止まり
あなたが傍に来てくれるのを待っている
あなたは私を押し上げてくれるから
頂にも立てる
あなたが勇気をくれるから嵐の海も進んでいける
あなたが支えてくれるなら 私は強くなれる
あなたの力で私はどこまでも奮い立てる
・・・
あなたがいるから私は自分を超えていける




スズキの遺言
瀕死のスズキを、かたさんがタモで陸に引き上げた。
ドタ、ドタとのたうちながら、口を大きくパクパクしている。
遺言のようだ。
スズキ語を日本語に翻訳すると、
「わいは、鈍平(どんべい)といいやす。
この世に生を受け5年目やんしょ」
・・・。
「こんなおいらに誰がしたんやですって?
聞くも涙、話すも涙やで。
ホンマ。

3日前のことや、馬鹿ルアーマンに右目をフックされたんや。
ホンマやで。
なんとか逃げおおせたけど、おかげで右目を失明してしもうたんや。
痛かったんやで。
ホンマ。
三日三晩七転八倒や。
いっそ死んだほうがましやと思ったんや。

思えば、わいの人生暗かった。
生まれた時から親を知らず、天涯孤独や。
身寄りのない子供が、たった一匹で世の荒波を越えてきたんやで。
ホンマ。
でもこんなおいらにも春が。
やっとええ娘ができたと思ったらこの始末や。
あまりにもひどいと思いましェんか。
神も仏もありゃしません。
もうたくさん、苦労長寿はゴメンやす。
もし彼女に会ったら、おいらは立派に戦死したと云ってや。

最後に辞世の句を言わしてもらいやす。
”久方の
 光のどけき 春の日に
  静心なく花の散るらん”
アーメン」
憐れなスズキを、かたさんはリリースしてやった。

The END
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