2014年6月27日(金) 曇りのち晴れ&凪
       那珂湊 海水温 18.6度
     那珂湊港の潮汐 大潮 満潮 17:12  干潮 10:00
ノビタの釣り天国

       
2014年6月27日(金) 午前5時15分~午後12時 大洗沖


     
     天が下に新しいこともなく


                                
  今日も10匹
敵の接近を知るか否か

「女が男を待たせるのは、もっと期待をふくらませてあげたい一心からなの」
 (ドイツの女優ヘネローレ・エルスナー)
海底を「トントントントン・・・」小突きながら応答を待つ。
なかなか応えが返らない。
我が愛する敵も、期待をもたせたく焦(じ)らしているのか、ナ?
ーすると。
海底から微かな異変が竿を持つ手に。
それは。
一瞬、錘より重い重さだったり。
一瞬、何かを擦った手触りだったり。
一瞬、ゴムを引いたような感触だったり。
・・・エトセトラと多種多様だが。
それは、愛すべき敵が餌に近づいた証し。
それも分からず仕掛けをシャクリ続け、餌を食わせる間も与えないとは笑止千万なり。
たとえて言うなら。
NHKの和久田麻由子アナのような知的で清純な美女が、恥じらいながらそっと袖を引いているのにも気づかず、あらぬ方に向かって熱烈歓迎の旗を振っているようなもの。

この異変に気付いた釣り士は幸いなり。
竿を持つ手に全神経を集中させ、小突きと誘い(聞き合わせ)を、それまでの単調さから相手を意識した動作に変化させ。
誘うこと1~3分。
「クククッ」
と、待望の応答を受信。
その瞬間、それまで白黒だった景色が総天然色に変わり、ベートーベンの交響曲第九番、第4楽章の『歓喜の歌』が天高く鳴り響くのだ。
今日も、この音楽を10度も聞いたよ。

乗船者9人
「気違い沙汰にならねば、究めることはできない」
 (開高 健)
と、釣りバカは今日もロシナンテに跨り那珂湊港へブッ飛んだ。
午前3時半、那珂湊港に到着。
すでに遊漁船T丸の前に、一台車が止まっていた。
今日も、右舷ミヨシ寄りに釣り座を確保した。
次々と釣り士の車が到着、車番の地名は水戸、宇都宮、土浦、那須、会津と多彩だ。
口から先に生まれたような常北町の名人Sさんも来て、俺の隣り右舷ミヨシでやることに。
本日、乗船した客は9人、皆さん竿を2本用意する剣豪ばかり。
俺は竿1本、まるで宮本武蔵と佐々木小次郎の戦いではないか。(チャンチャン)

      
やがて靄も消え
快調な滑り出し
午前4時50分、出航。
空と海の間に白い靄がかかっていたが戦場に着くころには靄は消え、青空が現れた。
海はベタ凪。
弱い北寄りの風が吹いていて、少々肌寒い感じ。

午前5時15分、釣り開始。
仕掛けは錘の上に1本と錘の下に3本の4本針仕掛け、錘は白く発光する分銅型50号。
水深28メートル。
ドボーン!と、一振り入魂の第一投。
釣り開始から3~5分経過、船中ポツリ、ポツリとマコカレイが上がりはじめた。
ー今に見ていろボクだって。

午前5時半。
釣りを開始してから15分経過、待望のアタリが。
じっくり喰わせて、「フイッシュオーン!」
はじめの1匹は錘の上の上針にきた、30センチそこそこの小ぶりだったが、1匹は1匹と、ホッ。
その10分後、今度は35センチがきた。
雲間から太陽が顔を出した。
強烈な陽射しを浴びると、一気に気温が上昇してきた。
ポツ、ポツと午前7時半までに6匹釣れた。
常北町の名人S士は、2匹。
右舷側には俺も含め4人いたが、ダントツの一人勝ち。(コホン)
午前9時半までに、9匹釣った。
だが、勢いはここまでだった。
それからパタッと海は沈黙。
                                     
   カレイ船が次々と集結
沈黙する右舷
このあとは、左舷側でオツリ、ポツリと釣れるばかり。
これまでの経験から申し上げると。
潮の流れの関係なのか、釣り座が陸を向いている側でよく釣れている感じ。
すなわち、船首が南を向いている時は右舷側が、船首が北を向いている時は左舷側がよく釣れているような。
これは、俺の単なる揣摩臆測であろうか?

午前9時半以降、海は沈黙したままだ。
船長が操舵室から顔を出し、
「サトーさん、プロが釣れなきゃ皆、やる気をなくすぞ」
とハッパをかけてきたが。
俺はプロでもなければ名人でもない。
皮肉だと知りつつも、つい頬がゆるむ。
ブタもおだてりゃ木に登る、シャカリキになって海底を小突くも応答なし。

ーそして。
午前10時半。
久々に、海底から嬉しい異変が届いたのだが・・・。
慎重に対処すること2~3分。
とうとう竿先がヒクヒクとお辞儀を繰り返した。
とたん。
左隣りの常北町と、操舵室の船長が同時に、
「アタッテいるゾー!」
と叫んだ。
ひまな二人が、たまたま俺の竿を注視していたらしい。
ところがだ、竿先をゆっくり持ち上げると、途中でフッと違和感が消えてしまったのだ。
ー逃げた!
1時間ぶりの貴重なアタリだったが。ーああ
「風 散々と この身に荒れて
思いどおりにならない夢を
失くしたりして
人はかよわい かよわいものですね
このあと、もう一度食い逃げされる。

終章
午前11時15分。
ここで会ったが三度目の、アタリを着信。
喰い迷っていた奴を強引に食わせ、
「フイッシュオーン!」
37センチのマコガレイを追釣、この10匹目が最後だった。
午後12時、納竿。
今日も前回と同じ10匹。
つづまるところ天(あめ)が下に新しいということもなく、奇手ということもなく終わったということか。
この日、トップが11匹、2番手の10匹が俺ともう一人。
常北町のS氏は5匹だった。

本日釣果
マコガレイ  32~38センチ   10匹

The END
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