2015年4月24日(金) 晴れ
       那珂湊 海水温  12.4度
  那珂湊港の潮汐 中潮 満潮  6:25  干潮 13:38
ノビタの釣り天国

       
2015年4月24日(金) 午前5時半~午後12時10分 大洗沖


     
     気分は返り討ち


                                     
マコガレイ2匹とムシカレイ1匹
かたくなまでのひとすじの道

たわいなく流れてゆく時の中に、キラリと光る宝のように凝縮された至福の一時。
これがあるから明日への元気がわいてくる。
しばらく逢いに行っていなかった。
常磐沖のマコカレイ。
寝ても覚めてもその対決シーンが、頭の中に鮮明に浮かんでくる。
ーもう限界だ!

「かたくなまでのひとすじの道
   愚か者だと笑いますか
 もう少し時がゆるやかであったなら
(『愛しき日々』 小椋 桂)
海も穏やかになり諸事も片がついた。
前回、目標5匹に対し結果はマコガレイ3匹。
捲土重来、今日こそ目標をクリアしようと那珂湊へぶっ飛んだ。

4月18日(土)の29匹の件
午前4時10分。
仄暗い中に先客の車が一台、二台、3台、4台。
みな早い、自分の好きな席を得るためだ。
それでも、狙いの右奥が空いていたのでそこに荷物を運んだ。
ぞくぞくと釣り師がやって来て、午前4時半には10人全員揃った。
突然、
「おはようございます」
と、目の前の岸壁に立ったのはコムさんだった。
8ケ月ぶりくらいの再会だ。
彼は僕のとなりで釣ることになった。

      
名人が乗った源丸
その時、彼からとんでもない話しを聞かされた。
4月18日(土)源丸のトップ29枚(マコカレイ)は、栃木の堀井さんであると。
29枚釣った話しは知っていた。
誰もが嘘だろうと言っていた。
でもそれが昨年、俺が6匹釣ったときに隣りで26匹釣った名人であった。
にわかに29枚は現実性をおびてくる。
名人に釣り方を教えて頂いたのだが、いまだ俺は初心者。
ー何でだろう?
世の中には難しいことを簡単に考える人と、簡単な事を難しく考える人がいる。
おそらく名人は前者であり、そして俺は間違いなく後者だ。
俺にとって沖のマコカレイ釣りは数学の最大の難問と言われるリーマン予想、
「ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるはずだ」
を解くようなもの。
一生かかっても解けないであろう。
                                              
早朝雲で覆われていた空
はじめの1匹
午前5時10分、出船。
空は雲で覆われていたが、風もなく海は凪ていた。
午前5時半、釣り開始。
その10分後に左舷の大トモで、船中第一号35センチ前後のマコガレイが釣れた。
となりのコムさんにも良型のマコが来た。
どうしたんだろう俺には来ない。
ただひたすら水深30メートルの海底を錘りで小突いていた。
1時間経過、まだなんの便りも届かない、一方通行の電話である。
ーまだ寝ているのだろうか?
「コラッ目お覚ませマコカレイ」
雲間から朝日の第一矢がチカッと射し、そして徐々に光りの矢は眩しく拡がってきた。

     
同じ所で差が出るカレイ釣り船
午前7時45分。
海底に伸びた道糸が、「コト」という微かな引きを拾った。
「・・・・・・・・・?」
2~3秒後、ゆっくり竿先を持ち上げると、「ククッククッククッ」と海底からギブアップ信号が。
海面まで引き上げたところで、船長のタモに御用。
一陽来復の1匹は、36センチのマコガレイだった。
この10分あと、ムシガレイ26センチが友情出演。
しばらくまた間があく。
船中もパッとせず、ポツリポツリ。
待望の3匹目が来たのは午前8時50分、海底から引き揚げてくる時の重量感から大物と思ったが、船長にタモで掬ってもらったのは41センチのマコガレイだった。
                                             
動くアデランス
地球外生物が釣れた!
この後が続かない。
竿を振る1時間、2時間。
キー、キー、キーと、全身が油が切れた機械のように悲鳴を上げている。
・・・と。
竿が重くなった。
重いが持ち上がる。
「石かもしれない」
と隣りで船長がタモを持ちながらつぶやいた。
上がったのは木の根っこノヨウナ、よく見ると全ての枝が動いている。
生まれて初めて見る生き物だ、なんという不気味な生き物。
こんな奴が特別出演するなんて。
船長が、
「アデランスだ」
と言った。
はじめそれが生物学の名称かと思ったが、かつらに似ているからそう呼ぶのだとあとで気が付いた。
俺の独断と偏見だが、これはヒトデの親戚かもしれない。

終章
「燃え尽きて真っ白な灰になるまで」
と小突き続けたのだが。
ーノー・ヒット
 ノー・ストライク
 ノー・フイッシュ。
午前8時50分の41センチのマコガレイが、ファイナル・アンサーだった。

午後12時10分、沖上がり。
この日、となりのコムさんがマコガレイ2匹とムシガレイ6匹で竿頭であった。
俺はマコガレイ2匹とムシガレイ1匹。
今日も目標の5匹に及ばなかった。
栃木の堀井名人の門下生(かってにそう思っている)としては、恥ずかしい。
やはり俺は、
「桃栗三年 柿八年 ダルマは九年 俺一生」
のようだ。

本日釣果
マコガレイ    36~41センチ   2匹
ムシガレイ     25センチ     1匹

The END
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