2017年7月7日(金)  晴れ
       那珂湊 海水温  19.2度
  那珂湊港の潮汐 大潮 満潮  16:09  干潮 9:01
ノビタの釣り天国

       
2017年7月7日(金) 午前5時~午後12時 大洗沖カレイ


     
   匠の技 いまだ遠し カレイ釣り


                               
   常磐沖はカレイ天国
船長の技

照りつける太陽に海面はギラギラ乱反射している。
したたり落ちる汗をぬぐいつつ、隣りで竿を振る船長を見ると。
まるで入れ食い。
俺は小一時間、一匹も釣っていないというのに。
船長の飾り気のない仕掛けを見ながら、
「やっぱり素っぴんがいいのかな~」
と話しかけると。
彼が言うには、厚化粧は暗いところでは相手にアピールするけど、明るくなると厚化粧は相手を警戒させると宣ふ。
まるで、人間世界の男と女の関係ではないか。
続けて、
「素っぴんも相手の好みがある」
ーそりゃそうだろう。
人間も同じだ。
お頭がよかろう悪かろう、野郎は可愛い子に飛びつく。
「さっきまで喰いが悪かったけど、仕掛けを短くしたとたん喰いがよくなったよ」
彼もまだ神域に達していないのかも。

はたして仕掛けが全てか、竿の振り方誘い方に隠し味があるのではないかと。
船長の竿の振りを注視すると、場末のバーでカスバの女が舞うフラメンコのように。
シャクナゲ(シャクになって投げる)振りだ。
無造作で、投げやりで、乱暴なのである。
船長の竿振りを見ているうちにウトウトと、夢の世界へ。
カスバの女、よく見ると誰かに似ている。
おろかな選挙演説で、与党崩壊の止めを刺した防衛大臣だ。
ーこんな女に誰がした?
と、ぼやきながら踊っている。
まだ反省が足りないようだ。


                                   
                 無風の朝
チャレンジャーは2人
那珂湊港の「つれたか丸」の船着場に着いたのは午前4時。
車は一台も止まっていない。
どうやら今日も先陣を切ったようだ。
港は夜の底から脱皮しつつあった。
刻々と港の事象がその姿を表していく。
右舷の大トモに釣り具を運んだ。
空は鉛色の靄に覆われていた。
風もなく空気が生暖かい。
準備をしていると、こむさんがやってきた。
今日のチャレンジャーは、こむさんと俺のオールドボーイ2人だけ。
遅れて船長がやってきた。

              ベタ凪
はじめの2匹
午前4時45分出航。
鏡のような海原を走ること15分。
初めの戦場に着いた。
水深20メートル。
仕掛けが海底に着底し、数回海底を小突くと。
カサカサカサと風が木の葉を擦るような不快なアタリが。
はじめの1匹は、15センチほどの小フグ。
再度、仕掛けを投入すると直後にまた不快なアタリ。
またまた15センチほどの小フグだった。
その戦場にいたのは5分ほど、すぐ見切りを付け船は南下して行く。
転々と船は戦場を移動して行く。
数回転戦したあとだった。
                                            
チンピラが2匹
本命が釣れた
午前5時半、30センチほどの本命マコを釣る。
これがご祝儀の1匹だったのか、以降海は沈黙してしまった。
20分ほどでその場所に見切りをつけ、船はさらに南下。
午前6時45分。
あらたな戦場で、また30センチほどのマコを釣り上げた。
このあと20~30センチのムシガレイがポツポツ、それに30センチ前後のマコが混じって釣れた。

午前7時半ごろから、船長が俺の隣りで参戦。
ポツポツだが切れ目なくムシガレイを釣っていた。
彼が来ると極端に、俺の方はアタリが遠くなった。
船長が突然叫んだ。
「タモ、タモ、マコガレイ、この引き、間違いない」
単語の羅列だ。
タモを持って待ち構えルト、弓なりの竿が浮いた。
「バレタ、切レタ、クソー」
空振りのタモを置き自分の竿を握った。
そのまま小突こうとすると、重い!?
ググッ、ググッと重厚なアタリ。

     
こんなギャングも掛かった
置竿に掛かっていたのだ。
慎重にリールを巻き、水面に浮上させたのは40センチオーバーのマコガレイ。
隣りで仕掛けを修復している船長を横目に、タモを海に入れようととした時だ、一際強いドーンの一撃を浴びた。
とたんにハリがパッと外れた。
ーああ。
百雷が一度に落ちたような衝撃だったよ。
「不幸は決して一人で訪れない」(西洋の諺)
先日の再現だ。
一度あることは二度ある、このあともう一度マコガレイを引き上げる途中でバラス。

終章
午後12時、起き上がり。
結局、おれの釣果はマコガレイ4匹、ムシガレイ11匹。
こむさんはマコガレイを8匹だそうな。
船長といい、こむさんといい、さすがカレイ釣りの匠である。
カレイへの道はまだまだ遠い。
こんな俺を寺山修司の言葉が支える。
「必勝を獲得し偶然を排したとき、人は幸運に見捨てられる」
やはり俺には、偶然と奇跡とまぐれの親友が必要のようだ。
釣果写真には船長にもらったカレイも含まれている。

本日釣果
マコガレイ    22~32センチ 4匹
ムシガレイ    20~35センチ 11匹
フグ        30~32センチ 3匹
(釣果写真には船長に頂いたカレイも含まれている)

The END
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